札幌市議会 > 2016-03-17 >
平成28年第二部予算特別委員会−03月17日-07号
平成28年第一部予算特別委員会−03月17日-07号

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  1. 札幌市議会 2016-03-17
    平成28年第二部予算特別委員会−03月17日-07号


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    平成28年第二部予算特別委員会−03月17日-07号平成28年第二部予算特別委員会  札幌市議会第二部予算特別委員会記録(第7号)               平成28年(2016年)3月17日(木曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 33名     委 員 長  しのだ 江里子      副委員長   坂本 きょう子     委   員  武 市 憲 一      委   員  宮 村 素 子     委   員  こんどう 和雄      委   員  長 内 直 也     委   員  細 川 正 人      委   員  小須田 悟 士     委   員  佐々木 みつこ      委   員  こじま ゆ み     委   員  阿部 ひであき      委   員  伴   良 隆     委   員  中 川 賢 一      委   員  松 井 隆 文     委   員  小 野 正 美      委   員  大 嶋   薫     委   員  三 宅 由 美      委   員  桑 原   透     委   員  村 上 ゆうこ      委   員  林   清 治     委   員  かんの 太 一      委   員  成 田 祐 樹     委   員  本 郷 俊 史      委   員  國 安 政 典     委   員  丸 山 秀 樹      委   員  小 口 智 久     委   員  竹 内 孝 代      委   員  村 上 ひとし
        委   員  池 田 由 美      委   員  田 中 啓 介     委   員  松 浦   忠      委   員  石 川 佐和子     委   員  中 山 真 一       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時     ―――――――――――――― ○しのだ江里子 委員長  ただいまから、第二部予算特別委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  最初に、第6款 経済費 第2項 農政費のうち農業委員会関係分の質疑を行いますが、通告がありませんので、質疑を終了いたします。  農業委員会の説明員の方は、退席されて結構です。  次に、第5款 労働費 第1項 労働費の質疑を行います。 ◆かんの太一 委員  私からは、フレッシュスタート塾事業について、何点か質問させていただきます。  最近の北海道の経済動向を見ますと、3月16日発表の北海道経済産業局管内経済概況では、緩やかに持ち直している、雇用動向については改善しているとあります。また、北海道労働局の統計によりますと、札幌圏の1月の有効求人倍率は、職業別に差はありますが、0.96倍と前年同月差0.09ポイント上昇し、71カ月連続で上回っております。  しかしながら、その中身を精査いたしますと、近年、非正規社員の割合が高く、役員を除く被雇用者全体5,284万人のうち、1,980万人、約4割にも及ぶ方々が非正規雇用となっており、若者が就職し、安心して結婚、出産を考えることのできる社会環境にはなっていないのが現状であると考えます。  このような中で、2014年度からは、新卒未就職者を対象に、卒業後の早い段階で市内企業への正社員就職に結びつけていくというフレッシュスタート塾事業を実施しており、これについて、我が会派として、たびたび特別委員会等で取り上げて、強く推進するように求めてきたところです。  この事業は、札幌の未来を支える若者に対する人材育成を通じた就職支援事業として効果的であるだけでなく、新卒者の道外流出による人口減少を予防する観点からも非常に有効な事業であると考えております。  そこで、質問ですが、2015年度のフレッシュスタート塾事業における現時点での実績についてお伺いいたします。 ◎花田 雇用推進部長  フレッシュスタート塾事業の現時点での実績についてでございます。  昨年5月から、90人の研修生に対し、1カ月間の座学研修と3カ月間の市内企業での職場実習を実施いたしました。内定者を含めて市内企業に正社員として就職した方は53人おりまして、正社員就職率としては約6割となっております。また、正社員以外の方も含めますと、市内企業に就職した方は75人になりまして、就職率としては8割を超えている状況でございます。 ◆かんの太一 委員  ただいまのご説明の中で、市内企業に就職した方が正社員以外も含めて約8割ということで、一定の評価はできると思います。しかし、就職できなかった方も少なからずいらっしゃると思いますので、これからもフォローに目を向けて推進していただきたいと思います。  続けて質問しますが、さきの2015年の第2回定例会の代表質問において、我が会派の大嶋委員から、この事業における定着の必要性を踏まえた今後の方向性について質問したところ、職業観の涵養に一層力を入れるなど、研修内容の充実に努めるとの答弁があったところです。  そこで、質問ですが、具体的にどのように実施したのか、お伺いいたします。 ◎花田 雇用推進部長  職業観の涵養に係る研修内容についてでございます。  今年度は、座学研修におきまして、仕事の基本を地道に積み重ねることの大切さ、あるいは、周囲への感謝の気持ちを持つことを含めて、働くことに対する心構えについて、わかりやすく、オリジナルの資料を用いて職業観の涵養により力を入れたところでございます。さらに、工場などで働く方の様子や現場の雰囲気を実際に感じてもらうために、職場見学会を実施いたしました。研修生へのアンケートによりますと、基本が大事だということが心に残ったという意見や、職場実習先をどこにするのか考える上で非常に参考になったという意見がありましたので、職業観の涵養につながっているものと考えているところでございます。 ◆かんの太一 委員  正社員としての就職が半数以上で、全体でも約8割の方が市内企業に就職できていることと、ただいまご説明いただきましたように、定着に向けて職業観の涵養を強化したことは評価できると思います。  ただ、来年度以降、一人でも多くの方が就職できるように、また、より定着につながるように支援していくためには、今年度事業の検証を行い、課題を把握し、改善していくことが必要ではないかと考えております。  そこで、質問ですが、2015年度のこの事業の課題についてどのように認識しているのか、お伺いいたします。 ◎花田 雇用推進部長  2015年度の事業の課題についてでございます。  事務的な仕事を希望する研修生が多い中で、職業選択の視野を広げられるよう、個々に応じたきめ細かなアドバイスや企業とのマッチングに力を入れてきたところでありますが、従来から希望していた職種以外に選択の幅を広げることができなかった方もいたという課題はございました。また、人とのコミュニケーションが苦手な研修生も少なくなく、このような方々への支援も課題として捉えているところでございます。 ◆かんの太一 委員  何点かの課題をお伺いいたしましたが、この事業については、画一的に教えていくという性質のものではなく、新卒者と一言で言っても、学歴も異なり、また、能力や適性も多様であることから、研修生一人一人の状況に応じた対応が求められますし、行政としては、本当に困っている方がしっかりと正職員就職できるよう、心の通ったきめ細やかな支援が必要だと考えます。  そこで、質問ですが、2015年度の課題を踏まえて2016年度の事業をどのように改善していくのか、お伺いいたします。 ◎花田 雇用推進部長  今年度事業の課題を踏まえた来年度事業の取り組みについてでございます。  来年度は、研修生が職業選択の視野をより広げられるように、異なる二つの業種での職場見学会を少人数で実施するとともに、座学研修におきましても、実際に働いている方を招くなどして現場で働く方の声を聞く機会をふやしていく予定でございます。また、コミュニケーション能力の向上につきましては、相手の意図や立場を理解するための実践的な演習など、より効果的な支援を行ってまいりたいと考えております。  これらのことを通じてしっかりと正社員就職に結びつけていき、ひいては、それが職場定着にもつながるものと考えているところでございます。 ◆かんの太一 委員  最後に、要望ですが、若年層への就職支援の形はさまざまあり、今後、本市として取り組むべき課題は多いと感じております。その中でも、これからの札幌の将来を担う若者に対して、市内企業への正職員就職を支援するこの事業は、市職員がかかわって職場定着にもしっかりと目を向けて事業を行っています。さらに、先ほども言及いたしましたが、若者の道外流出を予防し、人口減少にも効果があることから、非常に重要であり、力強く推進していくべきと考えます。  本市においては、未来を担う若者に寄り添った事業については今後とも力を入れて進めていただくよう強く要望いたしまして、私の質問を終了いたします。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、高齢者の就業による活躍推進について質問いたします。  15歳以上65歳未満のいわゆる生産年齢人口は、平成7年に8,726万人とピークを迎えて以来、平成26年の7,785万人まで年々減少を続けてきており、今後も同様の傾向が見込まれております。  そうした中、国は、一億総活躍を掲げ、減少する生産年齢人口に歯どめをかけようとするとともに、国民の誰もが家庭や職場、そして地域で充実した生活を送ることができるよう取り組みを進めております。今まで、地道に働いて、お金を稼いで、自分と家族との人生を築いてきた高齢者の中には、まだまだ元気なうちは働きたい、働いてお金をもらいたいという方が私の身近にもたくさんいらっしゃいます。そうした高齢者に生きがいの持てる就労の場、活躍の場、働いてお金をもらえる場をいかにつくるかが、生涯現役社会の実現に向けて重要と考えます。  高齢者の就業意欲は高まりを見せているところであり、ハローワークで就職活動を行う高齢者の新規登録者は、全国では、平成17年度の約20万人から、平成25年度には約40万人と2倍程度に増加しているところです。しかし、こうした求職活動を行う高齢者には厳しい現実が待っております。55歳から59歳までの就職率が約30%であるのに対して、65歳以上の高齢者の就職率は約15%まで落ち込んでしまいます。その背景として、高齢者の働きたいという意欲の高まりに行政や企業側が対応できていないのではないでしょうか。  そこで、質問ですが、札幌の高齢者の就職状況と企業の意識についてどのように認識しているのか、お伺いいたします。 ◎花田 雇用推進部長  札幌の高齢者の就職状況と企業の意識についてでございます。  平成27年中に札幌管内の3カ所のハローワークへ新たに求職登録した高齢者は6,600人余りで、前年から約500人増加しております。札幌市におきましても、高齢者の就業意欲が高まっているものと認識しております。  しかし、本年度の企業経営動向調査によりますと、43%の企業が体力面での不安などから高齢者雇用に興味がないと回答しておりまして、雇用に興味があると回答した25%の企業におきましても実際の雇用には踏み切れていない場合が多く、高齢者の就職率は、全国と同様、低迷している状況でございます。  このため、今後は、こうした企業側の理解を得る取り組みが必要と考えており、高齢者に対する支援だけではなく、企業に対しても働きかけを強めてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  容易ではない高齢者の就職ですが、このたび、就業サポートセンター事業の一環として高齢者の就労支援が新たに盛り込まれたことは、全国と比較して就業率の低い札幌市がこの課題に真摯に向き合っていく大きな一歩になるものと考えます。今後、市内の高齢者の就職を実現するためには、企業側の理解が不可欠であり、そのアプローチが重要であると考えます。  そこで、質問ですが、この事業ではどのように企業にアプローチしていくのか、お伺いいたします。 ◎花田 雇用推進部長  企業へのアプローチに関してですが、フルタイムの仕事を短時間勤務の複数の仕事に分割するなど、個々の企業の業種や規模に適した事例を紹介し、高齢者雇用の後押しをしていく必要があるというふうに考えております。  このため、高齢者のための企業開拓を専門的に行うスタッフを新たに就業サポートセンターに配置し、多くの企業にアプローチするとともに、高齢者雇用の際に活用できる国の助成金などを紹介する企業向けセミナーも開催してまいります。また、多くの企業が高齢者雇用に不安を持っていることから、実際に高齢者の働く様子を確認することができる職場体験なども活用して高齢者とのマッチングを促進してまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  今の答弁で、専任の開拓員を配置していく、そして、企業に対してもセミナーを開催し、さらには、職場体験なども活用していくというご答弁でございました。  高齢者の雇用は、健康面や体力面などから難しいというイメージを持つ企業もいまだに多く存在し、その意識を変え、業態に合わせた雇用を実現していくことは、一朝一夕になし遂げられるものでないのは確かだと思います。ぜひとも、そうした企業に対し、一社でも多くの企業の不安を払拭できるよう、取り組みを進めていただきたいと思います。  また、集約した求人と個々の高齢者のニーズを突き合わせてマッチングを進めるに当たっては、高齢者の状況、健康面やライフスタイルなどの状況を理解した上で、きめ細かく対応していくことが必要と考えます。さらに、企業側の意識を変えるだけでなく、働こうとする高齢者が円滑に求職活動を進められるよう支援していくことも不可欠であります。  そこで、質問ですが、次年度の就業サポートセンター等事業では、就労を希望する高齢者にどのような支援を提供していくつもりなのか、お伺いいたします。 ◎花田 雇用推進部長  就労を希望する高齢者への支援についてでございます。  就労を希望する高齢者の多くは、これまでの経験やスキルを生かして働くことを希望しておりまして、希望の実現のためには、個々のニーズに合った求人の確保が不可欠と考えております。一方、早期の再就職のためには、未経験の分野にも視野を広げていただくことも必要だろうというふうに考えております。  このため、今後は、高齢者の就労支援に豊富な経験を有するキャリアカウンセラー就業サポートセンターに配置し、個々のニーズを把握した上で、専門のスタッフがニーズに合った企業の開拓を進めるほか、幅広い業種に目を向けていただくためのセミナーも各区で開催してまいりたいというふうに考えております。 ◆丸山秀樹 委員  キャリアカウンセラーを配置して、高齢者一人一人に対してきめ細やかな支援を行うということでした。就労を希望する高齢者が企業に雇い入れられるためには、求職活動の経験が少ない高齢者がじかに企業とやりとりするよりも、マッチングやコーディネートをしてもらうことで就活に対する精神的な負担も軽減できるものと考えます。  要望になりますが、これまで、高齢者の就職というと、マンションの管理や清掃、さらには、シルバー人材センターの仕事内容を見ても庭木の剪定などでございました。現在の高齢者は、スキルが非常に高く、体力が落ちているとはいえ、仕事はとても丁寧で、見識やバランス感覚においても大変すぐれた方が多く、まだまだ社会で元気に活躍できる方が多くいらっしゃいます。そうした方々の経験や能力を生かせる求人が必要ではないでしょうか。  私は、社会全体で高齢者雇用に対する大きな意識変革が必要だと考えており、今後は、高齢者の就労意欲を満たす雇用環境の整備と実績が積み重ねられる中で、行政、企業が一体となって働き続けられる仕組みをつくることが大変重要であると考えます。  本市においては、高齢者の就労実績をぜひ数多く積み上げ、高齢者が戦力として大いに働けるまち札幌を目指し、取り組みに力を入れていただくことを求めて、質問を終わります。 ◆田中啓介 委員  私からは、若年層ワークトライアル事業について質問させていただきます。  先ほどかんの委員からもありましたが、札幌市の雇用形態は、正規の職員、従業員の割合は減り続けて、一方で、非正規の職員、従業員の割合はふえ続けて、34万人を超えております。このような状況で、同事業の目的は、札幌市の若者が将来安定した人生を送ることができるよう、市内の企業に正社員として就職できるような支援をするとしています。また、対象は札幌市内で正社員として働くことを目指したいと考えているおおむね35歳以下の若者、定時制高校生及び非正規社員で、予算は3,900万円となっております。  そこでまず、1点目の質問ですが、この事業をどのように進めていくのか、また、目的をどのようにしているのか、伺います。 ◎花田 雇用推進部長  この事業の目的、進め方についてでございます。  この事業の目的は、札幌市内の若者が、将来自立し、安定した生活を送ることができるよう、正社員または正社員転換の可能性のある市内企業への就職を支援するものでございます。  進め方につきましては、まず、1カ月間の座学研修で就職に必要な能力や社会人基礎力を身につけていただきます。その後、同じく1カ月間の職場実習を通じて、正社員または正社員転換の可能性のある市内企業への就職を支援してまいります。目標値といたしましては、正社員または正社員への転換が可能な市内企業への就職率を50%としております。 ◆田中啓介 委員  今、お聞きした事業の概要について、何点か細かく質問させていただきたいと思います。  まず、一つは、対象になっている年齢がおおむね35歳以下となっております。私は、昨年の第3回定例会の決算特別委員会で、30代、40代のまさに働き盛りの世代が人材不足または非正規で、正社員がなかなかいない実態があるとお話しさせていただきましたが、非正規で働いている40代の札幌市民は6万人以上いらっしゃいます。  そこで、対象を40代の方まで広げるお考えはないのか、伺います。 ◎花田 雇用推進部長  この事業の対象となる年齢ですが、年齢によって座学研修等の内容が少し変わってまいりますので、若年層を対象とした研修ということでおおむね35歳以下とさせていただいております。  ただ、35歳以上の参加はだめだということではございませんので、応募状況に応じて臨機に対応させていただきたいと思っております。 ◆田中啓介 委員  いただいた資料では、正社員を希望している研修生について、参加人数は大体60人と聞いております。ただ、札幌市内には実際に非正規で働いている方が34万人いらっしゃいますから、60人というのは少な過ぎると思います。  そこで、非正規で働いている方に対する事業の周知が必要だと思いますが、あわせて、60人の選考基準はどのようになっているのか、また、この事業は、若年層就業促進事業発展的継承事業のため、これからがスタートだと思いますけれども、将来的には何人を目標にしているのか、伺います。 ◎花田 雇用推進部長  研修生の選考基準ですが、基本的には委託事業として実施する予定でございまして、それぞれ30人ずつ、2社に委託することを予定しております。もし、それぞれ30人以上の応募があった場合には、正社員になろうとする意欲の強さ等で選考してまいりたいというふうに考えております。  また、この事業は、若年層就業促進事業を発展的に継承してレベルアップした事業でございます。60人なので全体の非正規社員数からすると少ない人数ですが、将来的に目指すところは、先ほども目的としてお話しさせていただきましたように、正規社員を目指していく若者に少しでも正社員転換の機会を与えていくものでありまして、このほかにも正社員就職を目指す若者に対して就業サポートセンターあいワーク就職支援を継続していきたいというふうに考えております。 ◆田中啓介 委員  選考基準は意欲の強さということですが、あわせて、他の事業とも連携して正規で働いていける方をふやしていきたいということでした。  もう一つお聞きいたしますが、資料では、この事業は札幌市が人材サービス会社に業務委託するとなっております。この人材サービス会社をどのように選考していくのか、また、委託する人材サービス会社への委託契約の内容及び委託料はどのようになっているのか、伺います。 ◎花田 雇用推進部長  まず、委託業者の選考方法についてですが、これは、公募による企画競争であり、提案内容のすぐれたものを選ぶプロポーザル方式によって上位2社を選定する予定でございます。  委託契約金額の内容についてですが、予算額3,900万円は2社トータルの予算額でございまして、委託契約の内容としては、企画提案がすぐれた2社が見積書を提出して、我々の予算の範囲内であれば事業者として決定いたします。 ◆田中啓介 委員  予算額3,900万円を2社で分けて、座学研修、また、その後の職場実習等々で使われるということでした。  この資料では、職場実習においては研修給付金があるとなっております。職場実習に至る前の段階である座学研修は、昼と夜にあるということなので働いていても研修が受けられるようになっております。しかし、実際に職場実習となった場合、求職中の方は職場実習に移行できると思いますけれども、今現在、派遣や非正規、あるいはバイトで働いているような方は、一回、仕事をやめて職場実習に移行することになるので、ある程度の収入がある中ではかなりの勇気が必要だと思います。また、目標の就職率が50%ということであれば、その後、60人中30人は職につけないことになります。  そこで、例えば就職できなかった方は、再度、この事業に参加できるのか、また、その点で札幌市の役割はあるのか、あわせて伺います。 ◎花田 雇用推進部長  まず、職場実習は、非正規の方が参加するにはなかなか困難があるのではないかというお話でした。  今、委員からお話がありましたが、まず、座学研修については、昼と夜の二つのコースを設けて非正規の方でも働きながら参加できるように、そして、負担を軽減するために週4日間程度で実施したいと思っております。職場実習につきましては、正社員または正社員を採用する意欲のある企業での職場実習ということになりまして、普通に1日6時間程度働いていただいてこちらから給付金を支給することになります。ですから、非正規で働いている方は、当然、両方では働けませんので、今の職場をやめてこちらに参加していただくことになります。ただ、すぐに退職できない方もいらっしゃると思いますので、職場実習は1カ月ですが、3カ月間の期間の中で研修生が実習の時期を柔軟に決めることができるように配慮してまいりたいと思っております。  それから、研修期間中に就職が決まらなかった方へのその後のフォローです。  決まらなかった方につきましては、その後も、委託契約期間内であれば、引き続き、委託業者がカウンセリングなどのアフターフォローを実施することにしております。さらに、この事業で実施する合同企業説明会がありますので、そこで就職が実現するようにサポートしてまいります。もちろん、私どもも研修生の相談等には随時応じていく予定でございます。ただ、この事業は、年度で1度ということですので、当該年度中にこの事業にもう一度参加することはできません。 ◆田中啓介 委員  事業そのものはトータルで半年という計画だと思いますけれども、私が聞いたのは、来年度にこの事業に参加して就職が決まらなかった方は、再来年度にまた参加できるのかということなのですが、いかがでしょうか。 ◎花田 雇用推進部長  それは、特に制限を設ける予定ではありませんので、また参加することは可能にしたいと思っております。 ◆田中啓介 委員  今の部長のお話では、非正規就職でも将来的にはしっかりと正社員で雇用するという企業も目標就職率50%の中に含まれているという答弁だったと思いますが、実際に私が聞いたケースですと、正社員になれると言われて就職したのに、店長にならないと正社員としては雇わないと、働いた後に言われたということです。  企業がそのような条件をつけないかという懸念が実際にありますが、この点はいかがでしょうか。 ◎花田 雇用推進部長  私どもとしては、職場実習をしていただく企業を選定する際には、まず、一旦は非正規社員として勤めていただくけれども、勤務ぶりや勤務状況、内容に応じて正社員への転換も十分に可能だという企業を選定していきたいと思っております。最初から非正規で採用し、その後も正規になるような可能性がない企業については、この事業における企業としては選定しない予定でございます。 ◆田中啓介 委員  この事業は3年ごとに追跡調査を行うと資料に書かれております。目的にあるとおり、非正規で働いている多くの方が正社員として将来にわたって安定した仕事につけることは、先ほどのかんの委員からの質疑にもありましたように、札幌市からの人口流出、少子化などの課題解決にもつながっていくと思います。  また、昨年10月24日のNHKの報道番組「働き盛りがなぜ?“中年フリーター”270万人の衝撃」というテーマで、非正規雇用の労働者がふえている実態が報道されておりました。その番組の中で、正社員と非正規社員の年収格差は300万円を超えていること、特に深刻なのは中年フリーターと呼ばれる35歳から54歳の非正規労働者だと指摘されております。また、この報道で、ある民間調査会社の調べとして、非正規労働者がふえていることが晩婚化、少子化へ影響を及ぼしており、生活保護受給者予備軍になっていることも指摘されておりました。  若年層ワークトライアル事業の目的にあるように、多くの非正規雇用の方が正社員として働いていけるように、年齢の制限を設けずに拡大していくこと、そして、人数そのものも拡大させていくことを求めておきます。私自身、この事業をしっかりと注視させていただきたいと申し述べて、質問を終わります。 ◆中川賢一 委員  私からは、経済局でたくさん持っている補助事業のあり方について、幾つか質問させていただきたいと思います。  本市におきましては、地域経済の持続的な発展を目指して札幌市産業振興ビジョンを策定して各種の施策を展開しており、また、各種の雇用対策事業にも数多く取り組んでおられまして、今般のまちづくり戦略ビジョン・アクションプラン、また、さっぽろ未来創生プランの中でも数多くの事業を示されているところでございます。これらのプラン、また、平成28年度の予算や事業等を拝見させていただきましても、その中には企業や団体に対しての補助事業が数多く見られるように思われます。  そこでまず、基本的なことを確認させていただきますが、経済局における企業や団体に対する補助事業は、本来、どういった趣旨で、どういう対象に対して施される性格のものなのか、基本的な考え方についてお伺いします。 ◎花田 雇用推進部長  経済局における補助事業の基本的な考え方についてでございます。  経済局におきましては、企業や経済団体、出資団体などが自身の持つノウハウや強みを生かして自主的に実施する取り組みで、札幌市の産業振興に資すると考えるものに対して補助を行っております。具体的には、企業が行う新製品開発への補助など、企業のリスクを軽減し、新たなチャレンジを促しているものや、経済団体などが実施する経営相談や人材育成など、札幌市が直接事業を実施するよりも効果的・効率的と判断するものなどに補助を行っているところでございます。
    ◆中川賢一 委員  補助事業の基本的な考え方について、ご説明では、企業や団体の自主的な事業に対して行うもので、市の産業振興に資するものとか、かなりリスクがあるところなどを鑑みた上で、市がサポートするというふうに理解させていただきました。  しかしながら、数ある補助事業の中には、10分の10、つまり全額補助する事業も幾つか散見されます。本来、補助事業は、企業や団体が自主的に行う事業であり、市はあくまでサポート側という今のご説明ですから、よほどの理由がないと全額を負担するのは筋が通らないと思います。市が全額を持つような事業でありますと、本来は市が主体となって取り組むべき事業でありまして、委託事業などの扱いのほうが自然なのではないかと思います。今、田中委員から雇用対策の委託事業に対していろいろな質問がありましたけれども、こういったスタイルが望ましいと思います。  そこで、質問ですが、経済局全体ではどのような全額補助の事業があって、そしてまた、それらに市が全額を負担している理由、考え方についてお伺いしたいと思います。 ◎花田 雇用推進部長  10分の10の補助といいますか、補助率の設定がない事業ということになろうかと思いますが、それから、負担の考え方についてでございます。  経済局の事業といたしましては、さっぽろ産業振興財団に補助するベンチャー創出・育成事業など五つの事業のほか、平成28年度から札幌商工会議所に補助する中小企業採用力・人材育成力強化事業がございます。  市が補助率の設定がない補助を行うのは、市の代替機能を持つ第三セクターに対して補助する場合や、団体などが事業のニーズを感じているものの、単独での実施までには至っていないものに対して、行政として公益上の必要性を判断して補助する場合がございます。 ◆中川賢一 委員  結果的に全額補助を行っている事業は、そんなにたくさんはないということでした。さっぽろ産業振興財団に補助する事業とか、来年度は商工会議所への補助事業を始めるというご説明だったと思います。  さっぽろ産業振興財団の場合は、第三セクターであって、これは、そもそも札幌市の産業振興を行う、いわば市の事業の代執行機能を持つ組織でございまして、本来は市がやるべきことですから、全額を補助することは十分に理解できるところでございます。  ただ、商工会議所等の経済団体が単独で執行するのが難しい場合という説明がありましたが、商工会議所は、多くの企業から会費を取って運営されている独立した経済団体でございまして、第三セクターの財団とはかなり性質が違うと思いますし、本当に商工会議所が単独で執行するのは難しいのかなと根本的に思うところがあります。  ご説明のありました中小企業採用力・人材育成強化事業は、企業の採用力を高めることが政策目的でございまして、人材育成や採用コンサルティングなどをやっている企業や事業者は商工会議所以外にも市内に幅広くいると思われますので、商工会議所に限定する必要はないのではないかと思います。そもそも、地域企業の採用力を強化するという取り組みは、商工会議所という公的な性格を有する経済団体の本来事業として、行政の補助の有無などにかかわらず、実施していても特に不思議はないと思います。  そこで、質問ですが、本事業を実施するに当たり、なぜ札幌商工会議所への補助事業という形で、それも10分の10というスキームを採用したのか、この理由を改めてお伺いしたいと思います。 ◎花田 雇用推進部長  札幌商工会議所への補助事業とした理由と補助のスキームについてでございます。  市内中小企業の人材不足感が強まっている中で、求める人材を採用できていない中小企業におきましては、採用に係るノウハウが不足している、あるいは、高い離職率に苦慮している状況がございまして、経済界としても対応の必要性を感じていたところでございます。札幌市におきましても、間もなく人口減少社会を迎える中で、本年1月に策定したさっぽろ未来創生プランにおいて、経済界と連携し、地域が必要とする人材の育成、定着を図るとしたところでございます。  そこで、この事業は、多くの会員企業を有する札幌商工会議所が広く市内企業全体を対象として主体的に取り組むことが望ましいと考えたものでございまして、補助のスキームにつきましては、補助率を設定せずに、コンサルタントの派遣などに関して1回当たりの補助上限額を定めるようにしたものでございます。 ◆中川賢一 委員  人材不足は、今、札幌にとっても非常に深刻な問題になりつつありますので、当然、こういった取り組みを市がやっていくことは望ましいことでありますし、商工会議所等で主体的に行っているということでも十分に期待したいところです。  ただ、こういう事業は、市がやっていても商工会議所がやっていても、それぞれの本来的な公的な責務を考えると当然のことですから、例えば2分の1ずつの折半とか、そういうやり方であればある程度の納得感はございます。補助率を設定せずに上限だけを定めたということですので、それ以上に商工会議所がやってくれるのであれば、その分は商工会議所の責任でやってくださいということなのかもしれませんが、逆を言えば、それ以上やらなければ、市が出したお金の範囲内だけで事を済ませることになってしまうおそれもあります。  このように、事業の組み立てとしてはまだまだ課題を感じるところであります。失礼ながら、ちょっとうがった見方をしますと、たまたま地方創生加速化交付金という国の補助事業があったために、急遽、安易に組み立てたのではないかとも見えます。この交付金自体、そもそも、全額、国負担でございますので、市としての自腹は痛まない事業ですが、それで事業の組み立てに対する責任意識が希薄になったとしたら大変なことだなと思います。国の交付金でありましても、札幌市民も含めた国民全体の負担であることには全く変わりがありませんので、こういったことは改めて指摘しておきたいと思います。  とにかく、平成28年度はこういった組み立てで事業を遂行するということですので、市としては、来年度の取り組みをしっかりと見て、その事業の検証を行って、その検証をもとに、より効果的かつ妥当な事業の組み立てを今後に向けて行っていただきたいと思います。  そこで、最後の質問ですが、本事業の効果と、全額の補助事業であることの妥当性を今後どう検証していくのか、また、その検証結果をどのように次年度以降の事業に反映させていくのか、その点についてお考えをお伺いしたいと思います。 ◎花田 雇用推進部長  来年度事業の効果の検証についてでございます。  効果の検証については、実施主体である札幌商工会議所と調整しながら進めていきたいと思っておりますが、コンサルタント等を受けた企業に対してアンケート調査を実施したいと考えております。アンケートにつきましては、事業内容に対する満足度や事業に対する意見、社内研修や採用方法の見直し、あるいは新たな導入の予定などを聞き取り、数値化することなども含めて効果の検証に有効な手法を検討しているところでございます。  また、事業効果の検証とあわせて、補助のスキームについても検討して、次年度以降の事業構築に生かしていきたいと考えております。 ◆中川賢一 委員  この事業は、次年度以降は、恐らく来年度の財源でありました交付金が利用できない見通しだと伺っております。ですから、商工会議所としっかりと事業検証をしていくということでありましたが、効果を上げていくのは当然ですけれども、札幌市、商工会議所のそれぞれの公的な責任もしっかり踏まえた上で、次年度以降は適切な事業に見直していっていただきたいと申し上げたいと思います。  また、経済局の事業全体として、今回の全額の補助事業だけではなく、かなり細かい補助事業がいたずらに多いのではないかなという印象を若干持っております。経済局というのは、非常に幅広い分野の産業を対象としておりますので、細かい事業にならざるを得ないことはある程度理解しますが、先ほど部長からもお話がありましたように、補助事業というのはあくまでも事業主体に対するサポートですので、それぞれの補助事業について、補助を提供する側としてのみならず、国等から補助をいただく側の立場からも、一定の段階でしっかりと自主的な事業展開やビジネスに発展させていくことを意識しながら組み立てていっていただきたいと思います。 ◆竹内孝代 委員  私からは、子育て女性の再就職支援について質問いたします。  産前産後休暇、育児休業制度の導入が法律で義務づけられ、現在では、出産を契機に約9割の女性が育児休業を取得するようになりました。しかし、育児休業を取得した女性がもとの職場に何の支障もなく復帰できているかというと、そうではありません。第1子を出産後の女性の継続就業率は4割程度であり、実に6割もの女性がもとの職場に戻ることなく退職していることになります。  札幌市では、こうした現状に着目し、平成26年度から女性が退職せずに就業を継続するための支援を行う女性社員の活躍応援事業に取り組んできたところであり、ほかの自治体にはない先駆的な取り組みとして評価しているところです。  その一方で、忘れてはいけないのが、退職した女性への再就職の支援です。子育て女性が望む働き方は実に多様であり、正社員として培ってきたキャリアを生かしたフルタイムでの仕事を望む方もいれば、子どもの急な発熱などに対応できるよう、早退や時間休暇の取得も可能といった柔軟な勤務体制を望む方もいらっしゃいます。  このたび、女性の就労の実現を支援する子育てママ再就職支援事業が盛り込まれ、我が会派としてもさきの代表質問で取り上げたところですが、こうした多種多様な子育て女性の就労ニーズに合致した事業とすることが不可欠です。  そこで、質問ですが、子育て女性の就業状況をどう分析し、この事業の狙いをどのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎花田 雇用推進部長  子育て女性の就業の状況とこの事業の狙いについてでございます。  就業を希望する子育て女性の多くは、育児と仕事の両立への不安やブランクから、求職活動に踏み切れていないということがございます。その結果、20歳から39歳の子育て女性の就業率は低い状況にとどまっております。  このため、この事業では、求職活動のきっかけとなるセミナーの開催や、企業と子育て女性双方の不安を解消するための職場体験を実施することで、子育て女性の希望に合わせた就業を実現し、出産を機に退職した場合でも容易に再就職できる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。 ◆竹内孝代 委員  子育て女性はブランクや不安から求職活動自体にも踏み切れないなどの現状であるという分析により、職場体験、いわゆるママインターンなどの効果的な事業を通じて再就職支援をするとのことでした。  私の身近にも、家事や育児に追われる中で、少しでも頑張って働きたいと通勤がしやすかったり短時間勤務を希望する方、また、これまでの知識や経験を生かした仕事につきたい方などがいらっしゃいます。よって、子育て女性が希望する職種は幅広いものがあると考えます。子育て女性の再就職を支援するためには、そのニーズに合った業種や仕事など多様な求人を確保するほか、企業とのマッチングに向けたきめ細かな対応が必要であると考えます。特に、セミナーにおいては、子育て中の方でも気軽に参加できるような配慮も必要です。  そこで、質問ですが、この事業では、就労ニーズを踏まえ、職場体験の受け入れ先となる企業開拓をどのように進めていくつもりなのか、また、セミナーの内容はどのようなものを考えているのか、お伺いいたします。 ◎花田 雇用推進部長  職場体験の受け入れ先となる企業の開拓についてでございますが、単に求人の提供を求めるだけではなく、採用のメリットなどを企業に伝えるほか、子育て女性に適した働き方を提案するなど、幅広い業種で進めてまいりたいと考えております。また、受け入れ企業と子育て女性のマッチングにつきましては、カウンセリングにより個々の女性のニーズを十分に把握するとともに、不安を取り除くため、事前に職場見学を行った上で職場体験につなげていき、体験中や体験後も就労に結びつくようカウンセリングを実施してまいります。  セミナーの内容につきましては、求職活動を始めるに当たってのポイントを紹介したり、そのほかにも就労している子育て女性との交流会も想定しておりまして、多くの方が安心して参加できるように、託児を設けて各区で開催してまいりたいと考えております。 ◆竹内孝代 委員  企業開拓に向けてはさまざまな視点で考えているとのこと、また、セミナーにおいては、各区で開催して、託児も準備するなど参加しやすい配慮がなされるとのことでした。  今回の職場体験事業は、子育て女性への直接的な支援が期待されることはもちろんですが、これまで子育て女性を雇用した経験のない企業にとって不安を取り除く効果的な仕組みになるとも考えます。この事業に参加する企業がふえることは、子育て女性を雇用する企業の拡大につながるため、多様な職場体験の受け入れ先を用意していただくようお願いいたします。また、セミナーについても、託児つきということで、小さなお子さんを抱える子育て女性に広く参加いただけるよう、十分な周知をお願いします。  さきに述べたように、この事業は、非常に意義があるものと思います。しかし、事業の対象者は100人程度と聞いており、就労を希望する子育て女性の一握りにしかすぎません。多くの子育て女性の就労を実現するためにも、事業に参加していない企業にも広く子育て女性の雇用に関する理解を求める必要があります。  そこで、質問ですが、この事業の効果をどのようにして広く普及させ、子育て女性の働きたいという思いを実現していくつもりなのか、お伺いいたします。 ◎花田 雇用推進部長  事業効果をどのように波及させていくのかについてですが、子育て女性の就労希望を実現するためには、多くの企業に雇用の意義や効果を十分に理解してもらうとともに、子育て女性の雇用によって業績の向上や職場の活性化につながった企業があることを知っていただくことも重要と認識しております。そのため、この事業では、採用のきっかけとなる成功事例集を作成し、これを活用することで新たな求人企業を開拓してまいりたいと考えております。また、専用ホームページへの事例集の掲載に加え、経済団体や北海道労働局と連携して広く企業に周知していくことも検討してまいります。 ◆竹内孝代 委員  子育て女性の就労を実現していくには、企業側の理解が広がり、就労を望む女性が働き続けられ、退職してもライフステージに合致した形で再就職できる環境を整備することが必要だと考えます。本事業の実施に当たっては、企業側に対して事業の意義や子育て女性を雇用するメリットを十分に伝え、子育て女性の再就職がかなう環境整備に力を入れていただくことを要望して、私の質問を終わります。 ◆石川佐和子 委員  私からは、若年層職場定着支援事業における定着調査について伺います。  札幌市において職場定着支援事業や就職支援事業に取り組まれていることはこれまでの質疑の中で出ておりましたが、若年層の就職に関しては、職場に定着できずに早期離職することが大変大きな課題になっていると認識しております。北海道労働局の資料によりますと、北海道における2012年3月に卒業した方の就職後3年以内の離職率は、大卒者で37.2%、高卒者で48.2%となっており、この数字は、全国と比較しますと、大卒で4.9ポイント、また、高卒では8.2ポイントも高くなっておりまして、大変憂慮すべき状況だと思います。  また、北海道内の新入社員を対象とした民間の調査がありますが、その中で、一つの会社に最低でもどれくらい勤めるべきかという問いに対しまして、一番多かった回答は2年から3年で34.8%です。次に多かった回答は4年から5年で、この二つを合わせますと、約6割の方が5年以内と考えていることがわかりまして、本当に驚くべき結果だと思います。その調査によりますと、2014年以降、その傾向が強まっているというふうにも読み取れます。  こうした若者の職場の短期志向は、早期離職にもつながるものであり、本人のキャリア形成においても決してプラスにはならないと思いますし、正社員として働いていても、一度、離職してしまいますと、次の職場で正社員になることは難しいとも聞いております。また、離職後、非正規社員になりますと、スキルアップする機会が少なくなり、キャリア形成が不十分となるために、次の正社員への転換がより難しくなる傾向が指摘されております。また、企業側にとっても、バブル崩壊後の採用の抑制やリストラなどにより、経営を支える中堅社員の不足、また、今、あらゆる業界で人手不足が顕在化している中、若手社員が定着しないということはますます大きな問題になっていると思います。  このような状態は社会全体で対応すべき課題とも言えると考えますが、札幌市において、こうした早期離職を予防する観点から、若年層を対象とした職場定着支援事業や就職支援事業を実施していることについては大きな意義があると考えております。内容につきましても、若者の目線に立って、若者の心をつかむような内容の研修やグループ討議による情報交換、また悩み等の相談など、受講者のニーズを踏まえた事業であると聞いております。  しかし、若年層の職場への定着が着実に図られるためには、就職した若者や雇用する企業が抱えている課題やニーズについて把握したものが現状にマッチしているのかどうかが重要でありまして、私は、こうした事業の効果を確認する必要があると考えることから、2014年3定の決算特別委員会において、定着状況の調査をすべきことを求め、アンケート調査を実施していくという答弁をいただいております。  そこで、質問ですが、2015年度に実施している定着調査の進捗状況はどのようになっているのか、まず、伺います。 ◎花田 雇用推進部長  定着状況調査の進捗状況についてでございます。  若年層の就職支援事業への参加者に対しては、事業の翌々年度から3年度間にわたりアンケート調査を行うことにしております。今年度につきましては、平成25年度事業の参加者のうち、この調査に同意していただいている185人を対象に就業状況等の調査を実施しております。現在、アンケートに未回答の方を対象に、電話による聞き取り調査を実施しているところでございます。また、平成25年度及び26年度において若年層の就職支援事業などに参加した307社の企業に対しては、職場定着の取り組みについて、電話による聞き取り調査を実施しているところでございます。  調査結果につきましては、今年度末にまとまる予定となっております。 ◆石川佐和子 委員  調査の進捗状況については、今、未回答の方への電話の聞き取りや企業への細かな調査を行っているということを伺いました。  次に、具体的にどのような内容で調査を行っておられるのか、伺います。 ◎花田 雇用推進部長  具体的な調査内容についてでございます。  参加者個人に対しては、現在の雇用形態、働き続けることに対して悩んでいること、あるいは、離職していた場合には、その時期と理由などを聞いております。企業に対しましては、現在行っているものとして、職場定着を目的とした取り組み、あるいは、職場定着を直接の目的とはしていないものの、結果として職場定着につながっている取り組み、そのほか、今後の職場定着を進めるに当たってどのような取り組みがよいと思うかなどについて聞き取り調査をしているところでございます。 ◆石川佐和子 委員  聞き取りも含めて細かな調査も行っているということですが、10代後半から20代というのは、その後の長い職業生活の中で必要とされる基礎的な職業能力を仕事を通して身につける大切な時期でありまして、短期間で離職する方々がなかなか減っていかないということは、若年者本人の職業能力の蓄積のみならず、職場の士気や仕事への意欲にも影響があると伺っています。職場定着に関する調査は公的機関や民間などでも行われておりますが、今伺いました詳細な調査で得られた生の声や情報は、若者の職場定着に悩んでいる地元中小企業にとりましても、ぜひとも知りたいと思う情報ではないかと思います。調査結果を今後の事業に反映させ、また、市内企業に広く周知を図っていくことが重要だと私は思います。  そこで、質問ですが、若年層の職場定着に向けて、こうして得られた調査結果を今後どのように反映させていくおつもりか、伺います。 ◎花田 雇用推進部長  調査結果の今後の反映についてでございます。  研修参加者個人に対して行っている調査の結果につきましては、今後における若年層の就職支援事業や定着支援事業などの参考として、さらに内容の充実を図ってまいりたいと考えております。  また、企業に対する調査結果のうち、職場定着につながっている企業の取り組みにつきましては、その後、直接、企業に出向いて、聞き取り調査による追加調査を順次行っていく予定でございます。追加調査した内容につきましては、ほかの企業の参考になると思いますので、企業向けのセミナーで活用していくほか、経済情報さっぽろなどの情報誌やホームページへの掲載などを通じて多くの企業に発信してまいりたいと考えております。 ◆石川佐和子 委員  最後に、要望ですが、若者の皆さんの市内企業への職場定着が着実に図られるようにすることは、本人が希望を持って働き、暮らし、充実した人生を送っていくためにはもちろんのこと、企業の将来にとっても、さらには人口減少を迎えている札幌市全体にとっても、大変重要なことだというふうに思います。  高卒者、大卒者の就職後3年以内の離職率を見てみますと、男性よりも女性のほうが高いという結果になっており、10ポイントくらいの差があります。こういう状況もありまして、女性が多い札幌市におきましては、定着の観点からも、女性が働き続けることができる環境整備が雇用や就労の場に求められていると思いますし、細やかな対応も必要だというふうに考えます。  今後、社会や経済情勢の変化などによって職場定着に係る意識や状況が変化していくことも考えられます。今、答弁を伺いましたが、今年度から実施しているこうしたきめ細やかな調査を継続的に行っていくことに意義があると考えますので、今後も、定着支援の内容を充実し、企業ともさまざまな情報を共有しながら、こうした調査や取り組みをさらに着実に進めていくことを強く要望して、終わります。 ○しのだ江里子 委員長  以上で、第1項 労働費の質疑を終了いたします。  次に、第6款 経済費 第1項 商工費のうち経済局関係分の質疑を行います。 ◆竹内孝代 委員  テレワーク導入支援事業について質問いたします。  先日発表された平成27年国勢調査の速報によると、前回調査からの5年間で北海道全体の人口は2.2%、約12万人の減少となり、調査開始以来、最大の減少幅となりました。一方、札幌市の人口は2.1%増の約195万人となったものの、ここ数年のうちに人口減少に転じると見込まれております。経済活動を主に支える生産年齢人口については既に減少が始まっており、この流れが続くと、労働力不足により企業活動へ支障を来すなど、経済規模の縮小が懸念されます。  生産年齢人口が減少していく中で、労働力を確保するために新たな働き方を提案していく必要性が高まってきており、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方である情報通信技術を活用した在宅勤務、いわゆるテレワークの導入が近年注目されています。これまで、テレワークの推進は、事業が先行している国や北海道においては、UIJターン、2地域居住などを通して生産年齢人口を増加させ、地方の活性化を図ることを主な目的として実施されており、地方でも都市部にいるのと変わらずに仕事ができる環境を構築する各種取り組みがなされてきたと考えます。  そこで、質問ですが、来年度から札幌市が行おうとしているテレワーク導入支援事業は、これまでの国や道の取り組みとどのような点に違いがあるのか、まず初めにお伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  国や道のテレワーク導入の取り組みとの違いについてでございます。  本市のテレワーク導入支援事業は、働きたいと考えているが、子育てなどを理由に働けないでいる女性に在宅勤務などの働く環境を整備することで就業につなげ、女性の有業率を高めることを目的として行うものでございます。具体的な内容といたしましては、市内企業を対象にテレワークシステムの導入実証実験を行い、成果や課題を分析するとともに、広く情報発信を行い、市内企業のテレワーク導入を進めるもので、女性が働きやすい環境整備を行うことにより、ワーク・ライフ・バランスの推進にもつながるものと認識しているところでございます。 ◆竹内孝代 委員  テレワークについては、これまで、国や道の取り組みでは、地方でも都市部にいるのと変わらずに仕事ができる環境構築であることに比べて、本市の取り組むテレワークとは、女性が働きやすい環境を整え、女性の有業率を高めることがこの事業の目的であるとのことでした。  本市における女性の有業率は、政令市の中では下位の45.2%であり、25歳から34歳の子育て女性に絞ってみると、有業率は33.7%とさらに低い状況です。しかし、民間調査会社が行った子育て中の女性100人へのアンケート調査によると、現在働いていない女性で就業したいと思っている割合は約9割にも上るという結果も出ており、環境が整えば子育て女性の就業が促進されるものと考えます。  同調査によると、働いていない理由としては、子どもがまだ小さく、家にいてあげたいという回答が多い一方、就職先の魅力として在宅勤務の導入を上げる回答が8割以上となっていることから、子育て中の女性にはテレワークのニーズが非常に高いことがわかります。新年度予算案について、先ほどの子育てママ就労体験事業の質疑においても述べさせていただきましたが、子育て女性の求める多様な働き方を後押しするための整備をすることにより、女性の活躍、就労の場が広がるものと考えております。今回のテレワーク導入の取り組みは、ワーク・ライフ・バランスの観点からも非常に大切であると同時に、企業側にも優秀な人材の確保を図る際のアピールポイントとしても重要になってくると考えます。  一方で、市内企業においては、現在、テレワークを導入している企業はまだまだ少ない状況であると聞いており、ニーズや社会的に必要性がある分野であるのに普及されにくいことには、その原因や課題があるものと考えます。  そこで、質問ですが、市内企業にテレワーク導入が普及していくためにはどのような課題を解決していく必要があると考えているか、お伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  テレワークを導入、普及していく上での課題についてでございますが、受け皿となる企業側の環境を整備することが重要であるというふうに考えております。そのため、本事業の実証実験を通じて、労務管理上の問題に加え、例えば、セキュリティーやスムーズな意思の伝達といったITを活用したテレワークシステムの検証など、企業側に想定される課題をあぶり出し、対応策を整理していくとともに、成功事例を周知し、市内企業のテレワーク普及を進めてまいりたいというふうに考えております。これによりまして、女性の活躍を応援していくことと同時に、企業が優秀な人材を確保することを支援してまいりたいというふうに考えております。 ◆竹内孝代 委員  今、答弁がありましたが、課題を解決していくために、今回の事業によりさまざまな事例が実証されていくものと考えます。就業したいと考えている女性がワーク・ライフ・バランスを実現しながら働くことが可能になるとともに、企業にとっても、従業員の柔軟な働き方を実現することにより、有能で多様な人材の確保と流出防止につながる取り組みであると期待いたします。  ぜひ、近年、注目されているテレワークによる多様な働き方が市内の幅広い企業に導入され、多くの働きたいと考える女性が家事や子育てを両立しながら就業できるような環境を整えていただきたいと思います。そして、このテレワーク事業がより具体的な効果につながるよう、実証だけで終わらせることなく、段階的に検証を繰り返しながら継続した取り組みとすることを求めて、私の質問を終わります。 ◆池田由美 委員  私は、コミュニティ型建設業創出事業について質問いたします。  2004年からスタートしたコミュニティ型建設業創出事業は、家のリフォームや修繕、バリアフリーや庭の手入れなど、市民の暮らしや住まいの困り事に地域のコーディネート事務局が相談に応じて、内容に適した企業を紹介するという事業です。開始当初は二つの事務局で14の企業の参画で行われ、現在は三つの事務局で61の企業が参画しています。消費税増税の厳しい状況もあったと思いますが、地域密着型の事業として市民から喜ばれるものになってきていると考えます。  当初、この事業は、札幌市が認定したコーディネート事務局に対して補助金を直接支出していましたが、2010年の市民評価事業仕分けで、この事業は既にベースができており、札幌市が支出する必要はないという理由で、廃止を含む見直しの評価を受けました。その後、補助金を段階的に縮減して、2014年度をもって補助を終了、本年度から、事業の自立や発展を目的として、札幌市も参画するさっぽろコミュニティ型建設業推進協議会を設立して、札幌市は運営経費として150万円の負担金を支出しております。そして、広報誌の掲載や市民向けセミナーの開催などの役割を担って、事務局がそれぞれ独立して事業を進めてきております。  そこで、質問ですが、独立した事業として1年間が経過いたしました。年度途中ですが、資料を見ますと、相談件数は2011年と比較して451件から409件へと減っており、見積もり件数も330件から285件へと減っております。この状況も含めて、事業内容の検証と結果を伺います。  また、経済センサス基礎調査によると、2009年から2014年の5年間で、本市の建設業は7,820から6,701へと減っております。そのうち6,222が19人以下の小規模企業であり、早急に対策が求められている状況です。コミュニティ型建設業創出事業の目的は、地域に根差して事業の推進を進める、企業を元気にしていく取り組みとなっていると思いますが、小規模企業への効果がどのようにあったのか、このことについても伺います。 ◎小野 産業振興部長  コミュニティ型建設事業の協議会移行以降の結果と検証についてでございます。  相談件数と見積もり件数については委員からお話をいただきましたが、昨年4月に協議会を立ち上げ、ことし1月末の時点では、成約件数は昨年同時期の161件に対して167件、成約金額で言いますと昨年は1億2,000万円だったものが1億7,000万円と増加して、昨年度の消費税増税前の駆け込み需要の反動減から回復していると考えておりまして、協議会移行後につきましても順調に推移しているというふうに考えております。  それから、建設業の小規模企業における事業の効果だと思いますが、現在、61企業に参画していただいておりますけれども、ほとんどが20人以下の小規模企業ですので、小規模な工務店や建設業系の企業の方々には、直接、住民から受注が来て、フェース・ツー・フェースの関係で業務ができることで一定の評価をいただいているというふうに考えているところでございます。 ◆池田由美 委員  成約金額はふえているというご答弁だったと思います。私も、資料を見て、ふえていることは認識しております。そして、相談も、同時期に比べたらそう変わらないというお話だったと思います。  大きな工事が入ったりすると、ぼんとふえていくと思います。今後、いかに相談件数をふやしていくのかが大きな課題ではないかと私は感じております。相談件数についても、もっともっとふやして市民の役に立っていく事業になることを本当に求めたいと思います。そのためには、事務局や参画企業をさらにふやしていかなければ、市民の要望には応えていけない状況が出てきているのではないかと思っています。  今後、事務局や参画企業をいかにしてふやしていこうと考えているのか、伺いたいと思います。 ◎小野 産業振興部長  コミュニティ型建設業のコーディネート事務局、そして、そこに連なる企業グループをどのようにふやしていくか、そのための今後の取り組みについてでございます。  現時点での取り組みといたしましては、企業グループにつきましては、通年で協議会に参画することが可能となっておりますし、コーディネート事務局につきましては、毎年1回ですが、事前の説明会も開催して応募を呼びかけているところでございます。  今後につきましても、同様に、この事業に参画するメリットを皆様に丁寧にご説明させていただいて、より多くの事務局、企業の方々に参画していただけるよう努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆池田由美 委員  今現在、三つの企業グループがあって、61の企業が参画しておりますが、先ほども言いましたように、市民の願いや暮らしの細かなお困り事に応えていくには、もっとふやしていくことが課題だと思いますけれども、グループや企業がなかなかふえていかない実態があるのではないかと思います。  そういう中で、リフォームやいろいろなお困り事に応えていくコーディネート事務局の応募資格を見ますと、造園や塗装、設計、建設などの企業グループが二つ以上あることと、その企業数の合計が15以上なければいけないという条件になっていると思います。ですから、この条件を満たすことができない小さな事業者は参画できないという課題があるのではないかと思います。  私の知っている、ここに応募したグループの代表の方は、応募資格の条件をもっと引き下げて、参加する入り口のハードルを下げてほしいという思いを話され、そして、もしその中に参画できたら、札幌市に認められているという思いが励みになっていくと語っておられました。小規模グループでも地域のまちづくりに貢献しようという意欲があったら参画を認めていくように、小規模グループの意見も聞きながら改善を図っていくべきだと思います。  参画する企業がふえることは小規模企業の仕事がふえることとなり、大変な経営状況の中でも体力をつけることにつながっていくと思いますが、応募資格も含めて、改善していくお考えがないのか、そのことをお伺いします。
    ◎小野 産業振興部長  コーディネート事務局の参画要件の緩和についてのお尋ねだと思いますが、コーディネート事務局に応募する際には、企業グループがコンソーシアムを組んで2企業グループ、15社以上という要件でありまして、この条件を緩和すべきではないかということです。  私どもは、先ほど申しましたように、この事業を市民の役に立つ仕組みとして幅広く使っていただくためには、多くの参画者を得る必要があると考えております。そのために、この条件のハードルがもし高いのだとすれば、そこも考えていく必要があるのだろうと考えております。その一方で、この仕組みは、市民が安心してリフォームすることができるなど、お困り事を解決するための一定のルールが必要だということもございますので、その点を踏まえて、現在、どのような緩和策があるかということについて協議会の中で検討を進めさせていただいているところでございます。 ◆池田由美 委員  市民が本当に安心して頼めるというところをしっかり担保していくことも大事ですので、全くルールがないわけにはいかないということは私も認識しているところです。しかし、参加したいと思っても参加できない企業の立場にぜひ立っていただきたいし、その意見も聞いて今後の改善に努めていただきたいと思います。  最後になります。  本市は、頑張りたいという意欲はあっても条件を満たすことができない企業に関する対応について、今後、改善を含めて検討していくというお話もありました。その際には、先ほども丁寧に伝えていきたいとおっしゃっていましたが、こういう企業はどうすればこの事業に参画できるのかということも含めて、しっかりと課題や問題点を把握し、企業を育てていくという目線がこれから本当に大事になってくるのではないかと思います。先ほども申し上げましたが、その立場で意見を十分に吸い上げていただければと思います。  そして、コミュニティ型建設業創出事業というのは、これから進んでいく高齢社会に向けて、バリアフリーや除雪や造園など、ますます地域から必要とされる事業となってくるのではないかと考えます。空き家対策や民間住宅の耐震化など、本市が進める事業にとっても大きな役割を果たすものだと考えます。市民の暮らしに関することは各部局に分かれて対応されておりますが、総合的に連携し合って取り組み、この事業が広がって、市民に喜ばれ、そして、企業としてもなりわいを守ることができて、本市の建設業が減ることなく地域に根差して事業を進めていけるように、本市が責任を持って進めていくべきだと申し上げて、質問を終わります。 ◆松浦忠 委員  あらかじめ、委員長にお断りしておきます。  私は、昨年の決算議会でも、経済局の中で、企業の誘致と障がい者の雇用など、優遇するに当たってはそういうことを条件にしてというようなことも質疑してまいりました。したがって、労働費にかかわる部分があるのですが、分けて質問すると質問の焦点がわかりづらくなりますから、雇用対策も含めて質疑したいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、二つお尋ねいたします。  一つは、各企業に障がい者の雇用を義務づけています。法律で定める要件を満たさなかったときに、一体幾らの罰金を国に納めなければならないのか、これが一つです。  それから、二つ目は、今年度の予算書を見ますと、企業立地促進費が7億9,300万円で、前年度と比べると2億3,050万円増額になっております。この増額された分を含めて、促進費を具体にどういう対象に使っていくか、この2点についてお尋ねいたします。 ◎花田 雇用推進部長  障がい者雇用の法定雇用率を満たさなかった場合の納付金制度についてでございますが、満たさなかった人数1人につき1カ月5万円の納付金ということになっております。 ◎小野 産業振興部長  平成28年度予算が27年度予算に比べて2億3,000万円ほど多い理由についてでございます。  これは、相当の部分が立地企業に対する補助金でございます。補助制度としては、IT、コンテンツ、バイオやコールセンター、製造業系と大きく分けて三つの補助事業を設けておりますが、制度によっては3年間補助が出るものもございます。そういうことで、過年度に立地した企業に対する補助金もまだふえている関係もありまして、平成28年度の予算額が多くなっている理由であります。 ◆松浦忠 委員  まず、3年間補助が出るということです。国の立地促進法にかかわって、対象になる企業が本市に進出したときに、固定資産税の減免があります。これを見ますと、初年度が9割、2年目が7割5分となっていって、3年間、100%の減免ではないのです。  私は、札幌市独自で、例えば、法定雇用率を満たすだけの障がい者を雇用する場合には、国が定める固定資産税の分以外も、例えば、1年目が9割だったら残りの1割、2年目が7割5分だったら残りの2割5分は、3年間、ご褒美として減免してあげるような制度にすべきではないかという投げかけをしていました。  これについては、税政部が所管ですが、大きな意味で言うと経済局の企業誘致にかかわるものですから、どんな検討をされたか、そのことについてお尋ねいたします。 ◎小野 産業振興部長  委員がおっしゃいましたのは国の地域再生法に基づく地方拠点強化税制の関係と考えますが、これは、東京23区から札幌市に本社機能を移転した場合に、固定資産税について、1年目は10割に近い額、2年目は75%、3年目は50%を減免する制度のことでございます。  その残りの負担分をさらに補助できないかというお尋ねだと思いますが、私どもとしては、本社の移転につきましては従前の補助制度も用意しておりますし、また、4月からは、本社機能が移転した場合には設備投資にも補助させていただくことになっておりますので、ほかの制度で足りるということではございませんけれども、違う角度から新しい制度を設けることで対応させていただきたいと考えているところでございます。 ◆松浦忠 委員  これは、ぜひ検討を進めていただきたいのです。  障がい者の雇用がなぜ進まないかといったら、やっぱり、法律を満たさなかったからといって反則金的に納める金額がそう多くはないから、企業としてはそれを納めたほうがあれこれ手間をかけなくていいという考え方があるからだと思います。そういう意味で、私は、少なくとも法定雇用率を満たすまで雇用したら固定資産税の減免も一定程度してあげますということも、札幌市の雇用対策として必要ではないかと思うものですから問題提起しているのです。これは、ぜひひとつ、検討を進めていただきたいというふうに思います。  さて、今、企業立地や誘致の話がありましたが、企業を呼んでくるのはなかなか大変です。実は、私も、昨年の11月から取り組みまして、結果的に、1社に札幌に来てもらうことになりました。この会社は東京の目黒区にありますが、社長は、飛行機の乗り継ぎがあるくらいで、通信手段も問題ないし、北海道で生産工場を持つのだから本社機能を移そうということになったのです。ところが、若い社員が多いものですから、誰一人として札幌に移る人がいなかったということで、残念ながら断念しますという結果でした。  そういうことで、私も、実際にやってみて、本社そのものを移して本格的に札幌に来てもらうのは容易ではないと思いました。したがって、本社機能を移すときには、本当にいろいろな手だてを考える中で働きかけていかなかったら実現しないというふうに思っているところです。  そこで、今、私が住んでいる白石区には大谷地流通団地があります。これも、つくった当時は、国が特別立法をして鳴り物入りで進めた施策なのです。当時、札幌市は、人口がどんどんふえるということで、あそこに市民のための生活品の物流拠点をつくったわけです。そして、市内のあらゆる物資の配送をトラックでやっております。昨今は、コンビニもそうですが、24時間営業のところが多くなって、ほとんど夜中じゅう、配送のためにトラックが走っております。ところが、トラックは、それぞれの会社によって持っている部品も違いますから、修理する工場もメーカー別にありますので、やっていない工場のトラックを使って配送に従事している会社は品物を届けられなくなる事態も起きている。これが実態であります。  そこで、私は、いろいろな相談もありますし、いろいろ考えたところ、白石区本通20丁目に旧白石清掃事務所跡地約4,000坪があります。そこで、大谷地に物流団地がありますが、物流などを含めた経済局が所管する施策の中で、経済局としてこの4,000坪の土地の活用策をどのように考えているか、これについてお尋ねしたいと思います。 ◎小野 産業振興部長  経済局としての白石区本通20丁目の旧白石清掃事務所跡地の活用策についてでございます。  委員がおっしゃるように、流通業務団地内でございまして、用途地域は準工業地域でございますが、現時点では環境局の所管で、間もなく管財部の所管になると思います。  私どもは、必ずしも白石がということではありませんが、工場を建てられる準工業地域というエリアは市内では大変限られておりますし、利便性の高い貴重な場所に4,000坪の土地があることにつきましては、非常に必要な土地として、事業用の形で使われることが望ましいのではないかと考えているところでございます。 ◆松浦忠 委員  具体に言いますと、大谷地のあそこは流通団地の中ですし、国道から新道に抜ける道路も国道ですね。したがって、私は、流通団地の業務の遂行上、あれを必要な業種に活用するべきではないかと思うのです。  そこで、何が必要かと思ってずっと考えてみたら、先ほどもちょっと話をしましたが、流通上は、あそこは全部トラックです。あれができた当時は、昔の日本国有鉄道の引き込み線がそれぞれ入っていまして、本州方面あるいは遠隔地から荷物が入ってきました。ところが、引き込み線はやめて、全部トラック輸送になっています。そして、私が住む白石区で言うと、12号線には三菱ふそうの販売と整備をやっている大きな工場もあります。12号線沿いをずっと行くと、それぞれあるのですが、ない会社もあります。私は、ない会社が、ここを整備拠点として、24時間動いている車に対応すると手を挙げたら、優先的に使用してもよいと思います。あるいはまた、災害になったときに一番困るのは停電です。電源車というのは、北電でも何台も持っていません。限られています。そうしたら、例えば、そういうところで、電源車も持ちますよ、災害対応も札幌市と協定を結んでやりますとか、こういうところが手を挙げたら優先的に使ってもらう、販売するということがあっていいのではないかと思うわけです。  そこで、局長、きょうはまだたくさんいますから、長くならないように、この辺で局長に考え方をきちんと出していただいて、1回で終わればそれでよしとしたいと思うので、答えてください。 ◎荒井 経済局長  手短にお話をしたいと思います。  委員がご指摘のとおり、流通に限らず、大谷地に立地している企業の皆さんの、手狭になっているとか、あるいは、機能強化のために土地が足りないという話は私どもも聞いております。そして、先ほどのトラックのお話ですが、そういった方々が物流の根幹を支えていることもわかりました。そういったことで言えば、経済施策としては大変重要な部分であろうというふうに思います。ましてや、札幌市には工業用地が非常に少ないという現状もありますので、例えば、企業誘致や、先ほどもお話にありました市外流出防止、あるいは雇用を守るといった目的からすれば、企業の皆さんに市有地を優先的に譲渡することは、経済政策上、十分考え得るのではないかなと思います。  一方、ご存じのとおり、契約というのは一般競争入札が原則ということで、契約の公平性であったり、できるだけ有利な価格で経営するという趣旨でさまざまな規制があることも事実であります。  そういったことを勘案してみますと、私どもとしては、今回のような工業系の用地につきましては、例えば、入札要件に何らかの条件を加えて参加者を一定の範囲の企業に限定すること、その土地、目的に合った企業の皆さんに限定するようなことを考えた上で、企業の皆さんに優先的に入札に参加していただくことは十分考え得るのではないかと思いますので、至急、そういった検討を進めたいと思います。 ◆松浦忠 委員  もっと踏み込んで言いますと、あそこの流通団地というのは、立地するときの法律の中で業種が決められておりました。いわゆる物流のための業種ということですね。ですから、あそこへ行ってみると、単なる事務所というのはございません。みんな、それぞれ物流にかかわったものです。そうすると、あそこはその区域の中ですから、私が調べた範囲ではトラック関係の整備工場が12号線通にないので製造会社が困っているという話を聞いております。したがって、流通団地の中ですから、その業務にかかわって最も困っていることで活用できるようにしてもらうことが、あの流通団地全体を今の状況の中で生かすことになるわけですから、私は、ぜひそうすべきだと思うのですよ。  局長、そう思わないですか。思うなら、思うと言って、それでいいから。 ◎荒井 経済局長  私もそう思います。  流通団地の状況を昨年からずっと調査しておりますけれども、非常に課題が多く、今、委員からもご指摘がありましたように、物流の関係はトラックが圧倒的です。トラックが動かずに、24時間、いろいろなところに物を運べなければ、市民生活にも大きな支障があります。あるいは、札幌が中心となって全道へ車が走っておりますので、それを支えるトラック業界の皆様方のサポートというのは、ぜひとも必要だというふうに思っております。  ですから、大谷地流通団地の中で必要となる機能を維持できるような企業の皆さんに入っていただくことを検討してまいりたいと思います。 ◆松浦忠 委員  それでは、ぜひ、そういう方向で活用していただきたい。それがあの団地をさらに生かしていくことだと思いますので、そのことを求めて、終わります。 ○しのだ江里子 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時52分       再 開 午後3時15分     ―――――――――――――― ○坂本きょう子 副委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆伴良隆 委員  私は、北海道の食資源を生かすための札幌の課題について、2項目にわたって質疑させていただきます。一つが高付加価値化、もう一つが物流ネットワークでございます。  まず、一つ目の高付加価値化の課題についてでございます。  札幌市の産業構造は、製造業など第2次産業の割合が低く、全国の割合の約3分の1で、卸売業、小売業や飲食店、宿泊業などの第3次産業が中心であり、比較的偏った産業構造になっております。明治期には、ものづくりの拠点とも言える今の創成東地区があるように、札幌市内では、ビールやしょうゆ、みそ、生糸などの生産が発展しましたけれども、現在の第2次産業は人口増加に伴う食料品や出版、印刷といった都市型軽工業が多いのが特徴です。こうした産業構造の中で、北海道の第3次産業の割合で多額を占め、また、幅広い産業に関連し、経済を牽引する可能性を持つ食分野が1次産品を加工、販売していく中で、6次産業化を含むさまざまな付加価値をつけられていく潜在的な可能性があると私は考えております。  生産年齢人口の減少に向けて、1人がより多くの収益を出すためには、物の付加価値を一層高めていくことが必須であり、そのためには、これまで以上に分野を超えた総合的な取り組み、つまり、企業進出や設備投資、研究支援、製造支援、輸出支援といった食の価値を高める一連のつながりへの一貫した支援が必要であります。  そこでまず、質問ですが、主に食という分野において、本市各部署が付加価値を創出し、高付加価値化に資する取り組みとはどのようなものか、代表的な施策と事業について、進捗を含めて簡潔に伺います。 ◎山田 国際経済戦略室長  食の高付加価値化に資する施策、事業について、進捗状況を含めてというご質問でございます。  まず、品質のすぐれた道内産品と札幌の製造・加工業者を結びつけ、商品としての付加価値を高めるため、平成23年から、道内1次産業者と市内2次・3次産業者が連携し、新商品開発を促す6次産業活性化推進事業を実施しており、これまでに合計22件の支援を行っているところでございます。  また、食品の安全性や機能を向上して付加価値を高める事業として、昨年度から健康機能性に関する科学的データを取得するための支援を計5件実施しているほか、今年度は、新たに生産・品質管理の向上を目指したHACCP、ISOなどの認証を取得するための支援を計12件実施しているところでございます。  これらの事業は、さっぽろ産業振興財団やノーステック財団のコーディネーターが、それぞれの採択企業に対して商品開発に対する相談対応や市場ニーズの情報共有をきめ細かく行うことで、さらなる付加価値の向上に結びついているものと認識しているところでございます。 ◆伴良隆 委員  まず、事業の取り組みと進捗を大ざっぱにお聞きしました。  例えば、東京のしゃれたレストランでは、まず北海道産とメニューに載せるだけで価値を上げ、そこに腕ききのシェフが味つけと盛りつけなどでさらに付加価値を上げる、テーブルサービスでさらに価値を上げて会計するので、本当にうまくやっているなと、道民である私も、今となっては少々悔しい思いで見ております。  一方で、素材のよさと珍しさを生かしてオリジナリティーをつくり出しているさっぽろスイーツがございます。あるいは、観光客から高い評価を受けているのがお土産や食事、食べ物であること、そして、観光客の札幌のイメージの約3割が食であることは、何より札幌の食の潜在性と可能性を示しているのではないかと私は思っております。  よって、今後も、1次産品を札幌らしく加工し、高付加価値をつけていくためには、確かに、担い手や加工設備や流通、物流の確保はもちろん基本ではありますが、札幌の食というものづくりが活躍できる環境と可能性を考慮しますと、今必要なのは、各地の消費マインドとトレンドを詳細に捉え、札幌への憧れやブランド力という優位性を背景にして、今ある物と人でもある程度のパフォーマンスができるのではないかと私は思っております。  そこで、質問ですが、国内外を問わず、道外の方々がどのような消費マインドを持ち、札幌や北海道の食に対して具体的に何を期待しているのかということについて、今、どのような情報収集ツールによって把握し、それら情報をどのように分析し、本市の既存の経営者や技術者にそれらを正確に伝え、有効に役立てていただいているのか、付加価値化にかかわって、先ほどご答弁で上げられた本市の施策や事業における効果についてもあわせて伺います。 ◎山田 国際経済戦略室長  国内外の消費マインドを反映した施策展開と効果についてでございます。  まず、どのような消費マインドがあり、それをどのように把握しているかということでございますが、札幌市では、一般的には国内外で開催される物産展や商談会等の機会を通してこれを把握しております。具体的な事例といたしまして、先ほどもお話し申し上げました6次産業活性化推進事業においては、日ごろより最新の市場動向を把握している専門コーディネーターが助言を行うほか、国内で開催される大規模展示会に出展することで、企業に肌で市場動向を実感いただいているところでございます。  次に、これらの市場情報についての分析と企業経営者への発信についてでございます。  ただいま申し上げました専門コーディネーターや食品バイヤー等の意見のほか、JETROや金融機関などと情報交換したり、さらには、各機関が実施するマーケティング調査資料などをもとにして、本市として重点エリアを決定するなどといった分析を行っているところでございます。また、企業経営者に対しては、関係機関と連携したセミナーの機会の提供などで情報発信に努めているところでございます。  これらの取り組みによりまして、例えば先ほどの6次産業活性化推進事業については、平成26年度に採択した4企業の売上額の合計が1億5,000万円に達するなど、市場ニーズを反映した効果的な商品開発や販路拡大施策などの成果が創出されていると考えているところでございます。 ◆伴良隆 委員  経済に関しては、効果の意味合いというのはなかなか難しいところがございますが、取り組みが着実に進んでいる中で一定の効果も得られているということでございまして、コーディネーター等の方々が活躍されて情報分析等を共有するなどして活用されているというお話でございました。  私は道外に視点を置いていますが、札幌産の農産物の地産地消などで、道外だけではなく、札幌市内での食の好循環を農政部でも努力されていることは申し上げておきたいと思います。  固有のことで申しわけありませんが、よく話題になるのは、例えば、福岡のめんたいこは北海道のタラコを使った加工品が多いと言われておりますけれども、それをまた北海道民がお土産で購入するという皮肉があるわけです。道産の昆布などの海産物や小豆などの農産物が本州で加工され、高付加価値のもとに販売されて収益になっているのに、生産地である北海道や1次産品が集積する流通拠点となる札幌では、それらを加工し、貴重性を出すための付加価値を満足につけられていないことはとても残念であります。  平成25年度の食料自給率は、カロリーベースでは、全国平均が39%、北海道は約200%、最新では197%、一方で東京は1%でございます。いかに北海道の食料生産が恵まれているかは皆さんもご承知のとおりですが、一目瞭然であります。  北海道は、全国に対する農水産物算出額のシェアは10%を超えておりますが、各産業の生産活動によって生み出される価値である粗付加価値のシェアは10%を切っており、北海道並びに札幌市が1次産品の供給地としての役割が大きく、付加価値をつけることができる産業構造であるにもかかわらず、道内で多くの1次産品を生産しても、付加価値をつけられないまま道外に販売されている現状であります。  また、札幌市の食料品製造業の粗付加価値率は、最新の平成25年で41.4%で、政令市平均の36.8%と比較しますと、健闘はしておりますが、北海道全体の粗付加価値率29.1%と対照しますと、高品質な道産食材を札幌側として付加価値をつけられない割合が相当のものだということがわかってまいります。  そこで、質問ですが、食料品製造業での付加価値化、つまり粗付加価値率に象徴されているとおり、高品質の道産食材が集積しやすく、1次産品の優位性を生かせるはずの札幌市が、道都という機能性と食材の優位性を生かし切れていないのは一体なぜなのでしょうか。付加価値をつけるために札幌が不足している要素とは何であるとお考えか、本市のご見解を伺います。 ◎山田 国際経済戦略室長  札幌としての食の付加価値をどのように高めていくのか、不足しているものとは一体どういうものかといった趣旨のご質問だと思います。  食の付加価値をつけていくためには、原料をそのまま売るのではなく、より高値で購入してもらえる魅力的な商品を創出する必要があります。本市としては、冒頭でお答え申し上げましたように、6次産業活性化推進事業を初めとする取り組みを行っているところでございます。  しかしながら、道内には、すぐれた食素材が豊富に存在し、全国的な知名度を持つような商品をより多く生み出す余地もまだまだございます。したがいまして、道内生産者と市内製造事業者とのマッチングをさらに進め、市場の反応を取り入れて商品の磨き上げを図りながら、札幌が持つ都市機能をこれまで以上に十分に活用する必要があるものと認識しております。さらに、こうした取り組みを着実に積み重ねて、成功事例を一つでも多くつくり出しながら、誰もが認める札幌らしい食ブランドをさらに構築していくことが、今後の付加価値をつける上で重要な要素であると考えております。 ◆伴良隆 委員  まだまだ伸び代があるというお話でございます。今、札幌の潜在性、可能性についてご答弁をいただいたと思いますが、努力をしなければいけない部分があるということでございました。  当然、効果という部分での事業の目標設定はなかなか難しいところもございます。補助件数なども一つの指標にはなるかと思いますが、粗付加価値率というわかりやすい指標がありますので、そういったところがしっかり伸びていくことも皆さん方の目標の中に入れて、さらに市民に知らせていただくことも努力していただきたいと思っております。  それでは、2項目めですが、関連して物流ネットワークの課題について伺いたいと思います。  北海道、札幌の食産業を支えるために、もう一つ、強化すべき分野が物流ネットワークであると考えております。例えば、空路の大部分を依存している新千歳空港といった空港とのアクセス、北極海航路で注目され始めている拠点港湾とのアクセス、貨物コンテナ列車や新幹線延伸といった駅も含めた鉄道アクセスなど、確かに札幌は恵まれた交通環境が存在しております。しかし、札幌には雪というハンディがございますので、このハンディを克服していくには物流を支える強固な交通ネットワークが必要であります。  例えば、高速道からの都心ダイレクトアクセス強化により、港湾を持つ小樽や空港を持つ千歳などといった各交通拠点とよりスムーズに行き来できるようになることや、丘珠空港といった都心から約6キロメートルという近接した空港の機能強化による路線拡充によって、ダイレクトに他都市に人や物が移動することができるようになるなど、まだまだ生かせる交通インフラがあるように思います。  そこで、質問ですが、本市は、道外、海外への販路開拓について、北海道の流通の中心地である札幌を拠点として、道内はもとより、道外、海外への販売力を強化することによって安定的な流通・物流ネットワーク体制を生み出し、強化するとしておりますけれども、本市の交通ネットワーク、つまり道路、鉄道駅、空港、港湾を主とすると、現インフラ状況についてどのような認識を持っておられますでしょうか。  また、丘珠空港は、今後の機能強化によっては札幌と他都市をより早く効率的に結ぶことも可能になりますが、丘珠空港や周辺の広大な土地について今後どのような役割が期待されているのか、それぞれ経済活性化という経済的な視点からのご見解を伺いたいと思います。 ◎山田 国際経済戦略室長  物流・交通ネットワークの経済的な視点からの認識についてでございます。  委員のお話にもございましたように、札幌周辺には、丘珠空港や千歳空港、石狩湾新港などの広域的な交通インフラ、それから、物流拠点としての大谷地流通団地がございまして、高速道路などの道路網によってそれらが結びついているところでございます。また、札幌の雪といった特性を踏まえた交通ネットワークを整備することによりまして物流機能が強化され、食料品製造業、卸売業、小売業など札幌の基幹産業の競争力が高まるとともに、インバウンド客の受け入れ能力の強化にもつながるものであると認識しております。さらに、企業集積やさまざまな投資を受け入れるためにも重要なことであると考えております。  2点目の丘珠空港の役割についてですが、人口減少社会の到来が迫っている中、札幌、北海道の経済活性化や観光振興を図っていくためにも、ビジネス客や観光客などの交流人口の増加を図ることが重要でございます。都心に近接する利便性の高い丘珠空港は、そういったビジネス需要を支える拠点であると認識しております。  来年度に新設を予定しております経済観光局におきましても、経済、観光の両面から、丘珠空港の地理的利便性を最大限活用して、札幌、北海道の発展に寄与させるための手法について関係部局と議論してまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  ご答弁にありましたとおり、新設予定の経済観光局といったところが主体となって、経済の視点からさまざまなインフラ整備、ネットワークを確立していくことについては、ぜひとも積極的に調整を図っていただきたいと思います。  ネットワークということで申しましたが、わかりやすい事例を申し上げますと、ただいま検討中の丘珠−静岡間のフジドリームエアラインズ、FDAの定期便がもし仮にことしの夏に結ばれたら、例えば、三部農政部長も広告塔になっている札幌産タマネギの札幌黄を6次化などでブランド化しようとしているレトルトカップスープや手づくりジャムを静岡の方々に機内提供したり販売できるかどうか、検討してみるのもよろしいのではないかと思うところです。つまり、いろいろと有機的に結びついている事例ではないかと考えますので、提案させていただきたいと思います。  先日、私は、たまたま、ある漁師さんとお会いしたときに、そこの漁港でとれたブリが市場では50円程度で売買されているが、50円がもっと高くなるにこしたことはない、しかし、海水温度が上昇している中で、今までとれづらかった北海道のブリの価値をもっと前面に出した上でなら、仮に50円のままであっても道民としてうれしいし、漁のしがいもあるとその方はおっしゃっていました。  確かに、加工することなく、素材そのままの味で勝負してほしいと思うところも一方でございます。しかし、付加価値化や、インバウンドのために2次産業から3次産業に結びつけ、収益を出していく札幌にするには、味はもとより、希少性やブランド性などの付加価値を複合的につけることで、どのような市場変動があっても粗付加価値率が影響を受けないような商品をつくり出すことが必要であります。ひいては、付加価値化による生産者の生活の安心と道民としての誇りにつなげていくことも、道都札幌としての役割なのではないかというふうに思っております。  私が北海道、札幌に来てまず感じた一番わかりやすい優位性は水と空気でございます。当然、そのことで素材の強みを感じましたし、機能性で言えば、コンパクトで生活しやすいまちであるということでございました。まず、こうしたさまざまな札幌の強みを札幌市民がみずから認識し、自信を持った札幌人の力がこれからもっと必要であると私は思っております。  その上で、最後に、荒井経済局長に質問であります。  今後の経済施策の肝になる食分野について取り上げてまいりましたが、付加価値をつけるための原動力となる、札幌にしかないとか、札幌だからこそという、いわゆる札幌らしさとは一体何であるとお考えでしょうか。そして、他分野にわたるような札幌らしさを生かすために、市民が共有していくべき考えと行動とは何であるとお考えか、荒井局長の思いも込めてそれぞれ伺いたいと思います。 ◎荒井 経済局長  非常に大きなお話で、十分な答えになるかどうかわかりませんが、私見ということでお話しさせていただきたいと思います。  食の付加価値を高めていくということで、札幌らしさ、札幌の優位性は何かということでございます。  委員がおっしゃったように、札幌の空気であったり水であったり、それは札幌らしさの一つではないかと思います。また、札幌が持つ冷涼な気候も札幌が持っている大事なものだろうというふうに思います。そして、何より、1次産品が北海道内から札幌に集まってきますので、手に入りやすさというのは札幌の持つ優位性ではないかというふうに思います。そして、それだけではなくて、札幌には、変革しようとする気持ちであったり、イノベーションを起こしていこうという気持ちもあるのではないかなというふうに思います。  一例を申し上げますと、委員のお話の中にもありましたが、さっぽろスイーツの取り組みがあります。あれは、ただのコンペティションではなくて、コンペティションで優勝した製品のレシピを全面公開して、どの店でもそれぞれの味、素材で同じものをつくっていき、それぞれのお店のパティシエのつくり方で個性ある製品ができ、そして、それが一つのブランドになっていくというのは、非常にイノベーション的な取り組みだと思っております。そして、今、さっぽろスイーツは海外にも輸出される時代まで来ておりますので、そういったものは札幌らしさの中核をなしていく考え方ではないかと思います。  そして、二つ目の他分野において札幌市民がこれからも持ち続けていくべきものは何だろうかということでございます。
     札幌市民だけではなく、我々札幌市の職員も持たなければいけないと思っておりますが、やはり、物事に対して変革していこうという気持ちがすごく大事なのではないかというふうに思います。今、人口減少やグローバル化など、いろいろなことが言われていますが、誰かに頼って生きていくのが非常に難しい時代になっております。回答がそこにあるというような時代ではないと思っております。ですから、やはり、自分の頭で考えて変革し、そして、それを実現していくことが求められていくのかなと思っております。私が市民に言うのはおこがましいですが、そういった変革をしていく気持ちを、札幌市民、あるいは私ども札幌市の職員が持ち続けていくことが、このまちを発展的に導いていくことではないかというふうに思っております。 ◆伴良隆 委員  私が思いを込めてと聞いてしまいましたので、申しわけない思いであります。ただ、聞いていて、私は大変心を打たれたところでございます。  変革という精神を持って、さまざまなものに対してイノベーションという形で付加価値化して札幌が勝ち抜いていく、そうした積極性をオール札幌でやっていかなければいけません。職員の皆さん方もそういうお気持ちだろうと思いますので、そのことは共有できたと思っております。新年度に向けて、札幌が持つソフト・ハードのそれぞれの機能性や優位性がしっかり発揮されるよう、さまざまな経済施策をまさに戦略的に企画、展開し、本市の経済発展をぜひリードしていただきたいと思います。  荒井経済局長におかれましては、今後も札幌の発展のためにご活躍されることを期待申し上げ、また、後輩として長年のご奉職とご厚意に心から感謝を申し上げまして、質問を終わります。 ◆林清治 委員  私は、製造業におけるエネルギーコスト削減の取り組み支援、そして、有望産業海外ビジネス展開支援事業の2項目について、順次、質問したいと思います。  最初に、製造業におけるエネルギーコスト削減の取り組み支援についてであります。  福島第一原発事故以来の各原発の停止により、各電力会社では火力発電所における燃料調達コストの増加を理由に相次いで値上げを実施しました。北海道電力においても、2014年11月に、家庭部門では15.33%、認可が不要な法人部門では20.32%の再値上げを行いました。1回目の値上げを合わせると、家庭向けで2割強、企業向けでは3割前後の値上げとなっております。このことは、国の円安誘導を含む経済政策の失敗が大きく寄与するところですが、言うまでもなく、電力は私たちの暮らしと産業を支える血液と言うべきものであり、多くの市民、企業が再値上げにより大きな影響を受けております。中でも、生産設備の運転など、多くの電力を使用する製造業においては大きな打撃となっております。  札幌市においては、製造業の電力コスト削減による経営基盤の強化を目的として、スマートメーターを活用した見える化や、専門家による工場内の生産設備などの運用改善によって電力使用量を削減するなど、省エネに対して支援を行う札幌型スマートファクトリー化推進支援事業を2014年度から実施しております。  最初は、札幌発寒工業団地協同組合をモデル団地とした実証実験を行ったところであり、製品を1単位生産するのに使用した電力量は前年比16.1%減となり、成果が見られております。昨年度においては、その成果をほかの工業団地へ普及させるため、電力の調達を一括で行う共同受電を実施している工業団地向けに補助制度を設け、組織的な省エネ活動に取り組む企業がふえるなど、工業団地に対する事業としては一定の成果があったものと考えられます。そして、今年度は、これまでの事業で対象とならなかった工業団地以外の企業を対象とし、省エネによるエネルギーコスト削減の取り組みをさらに拡大させるものとして期待しております。  そこで、最初の質問ですが、今年度事業の具体的内容と、事業は年度末までということでありますけれども、現時点で見えている成果についてお伺いします。 ◎小野 産業振興部長  まず、今年度事業の具体的内容についてでございますが、これまで対象とならなかった市内各地の製造業者が複数でグループを構成することにより、工業団地と同様の省エネ効果が得られるかを実証する事業を実施しております。また、電力小売の自由化により調達先の選択肢もふえていることを受け、新電力の活用による調達の改善が電力料金の削減につながるかを調査する取り組みもあわせて行っているところでございます。  現時点で把握できている成果としては、電力使用状況の詳細な分析を通じて、より効率的な機器の使い方や停止可能な機器を把握できたことなど、これまで以上に効果のある省エネ方策を見出し、参画企業内での取り組み方策の明確化やグループ内での情報共有など、団地以外でも効果の高い省エネの土台を築くことができました。また、電力調達の改善につきましては、一定規模の需要が集まることで電力料金削減の可能性を見込まれ、省エネルギーの取り組みとあわせて、参画した企業には好意的に受けとめていただいているところです。 ◆林清治 委員  ただいま、今年度の取り組みと現時点での成果について答弁いただきました。  札幌市では、昨年度、市内製造業の自立分散型電源導入調査事業を実施しました。これは、コージェネレーションや太陽光発電システム、蓄電池などの自立分散型電源の導入が緊急時の予備電源として機能するだけではなく、電力のピークカットに利用することでコスト削減につながる場合があるということで、市内製造業者2社及び一つの工業団地を対象に、効果的な設備の導入について、採算性や効果を調査する実現可能性調査を行ったということであります。  このように、企業にとって考えられるエネルギーコストの削減方法は、費用をかけない運用改善によるものと、省エネ型の生産設備や自立分散型電源設備の導入など、幾つかの方策があると考えられます。これら一連の事業で得られた成果を普及させ、電力コスト削減による経営基盤の整備、強化につなげていくことはもちろんですが、企業に対する適切なメニューの提示や、それに基づくサービスの実施を新たなビジネスとして成立させることも意識して今後の事業に取り組んでもらいたいと考えております。  そこで、次の質問ですが、これまでの自立分散型電源導入調査事業やスマートファクトリー化推進支援事業で得られた成果を今後どのように活用していくのか、また、これら一連の事業の今後の方向性について、あわせて伺います。 ◎小野 産業振興部長  1点目の得られた成果をどう活用していくのかということでございます。  今年度末に省エネや設備導入などを内容とした企業向けセミナーを開催する予定になっているほか、その得られた成果を市のホームページなどで公開して、具体的なエネルギーコスト削減の方策について市内製造業者に周知し、企業の自主的な取り組みにつなげてまいりたいと考えているところでございます。  次に、2点目の今後の事業の方向性についてでございます。  委員のご指摘のとおり、特に熱需要の大きい積雪寒冷地におきましては、エネルギーコストの削減に向けた運用改善や設備投資のコンサルティング、電力調達の改善支援などが、市内企業の経営基盤強化とともに、環境ビジネスの創出にもつながる可能性があるというふうに考えております。したがいまして、今後は、製造業のみならず、さまざまな業種の省エネニーズを把握するとともに、エネルギーコスト削減に向けたサービスをビジネスとして成立させるための具体的な方策について検討してまいりたいと考えているところでございます。 ◆林清治 委員  私は、2013年の予算特別委員会において、スマートファクトリー化推進支援事業を始めるに当たって質問しております。そのときにも述べておりますが、札幌市の全産業に占める製造業の割合は全国に比べて低いものの、製造業は、他の産業への波及効果が大きく、地域社会を支える産業であることから、札幌市として積極的に支援すべきであり、これらエネルギーコスト削減についても積極的に取り組みを行うことで製造業を札幌に誘致する際の一つのインセンティブにもなると考えております。この事業は、今後、札幌型省エネビジネス創出事業費ということで違う形へと進化していくと聞いております。今後も、事業者のニーズを踏まえた支援を充実させることと、また、省エネルギーの産業化についてもしっかりと調査、検討していくことを求めて、この質問を終わりたいと思います。  次に、有望産業海外ビジネス展開支援事業について質問します。  人口減少、少子高齢化に伴う国内市場の縮小や、アジアを初めとする海外の経済成長による市場拡大を見据えて、市内企業においても外需獲得を促進するための動きが活発化してきております。例えば、ジェトロ北海道が毎年実施している北海道企業の海外事業活動実態調査の結果では、市内企業の海外拠点数が2011年から2015年の間に2倍近くに増加していることなどからも、市内企業の海外進出意欲の高まりが見てとれると思います。  また、札幌市では、2014年4月、海外展開に意欲のある企業を後押しし、積極的な外需獲得施策を戦略的に推進する姿勢を明確に打ち出すため、国際経済戦略室を設置し、特に札幌の強みである食関連企業の海外展開支援への取り組みを一層強化しているところであります。その成果として、市内企業のアンケート調査では、2014年の食品輸出額は53億円となり、前年度より20億円増加したとのことで、これまで続けてきた食関連企業への支援が一定の効果を上げているものと考えております。  一方、札幌市内にはさまざまな分野の企業が集積しており、食に続いて積極的な海外展開が期待できる産業があると考えております。このような中、札幌市では、今年度の新規事業として、環境関連技術を有する市内企業と中国企業とのビジネス交流や、モンゴル国への消防関連企業のPRを行うインフラビジネスグローバル化事業、市内IT企業の海外現地のニーズに対応した商品開発支援、自社の技術や製品を売り込む商談会をベトナムで開催するIT産業海外展開支援事業を実施したところであります。加えて、来年度は、これらの事業を受けて、特に環境関連産業やIT産業への海外展開支援を強化するため、有望産業海外ビジネス展開支援事業を実施するとのことであります。  そこで、質問ですが、来年度の事業名にあるとおり、環境関連産業やIT産業を海外展開が有望であると位置づけた理由について、まず、お伺いします。 ◎山田 国際経済戦略室長  環境関連産業やIT産業を海外展開するに当たって有望であると位置づけた理由についてでございます。  まず、環境関連産業につきましては、特に中国から札幌市内の企業が持っている環境技術に対して高い関心が示されております。昨年10月に実施した商談会をきっかけとして、緑化の技術導入に向けた数億円規模の商談が継続しているなど、大規模な成果につながることが期待できる分野と認識しております。  次に、IT産業につきましては、市内IT企業へのアンケートでは、多くの企業が海外進出への意欲を示すなど、業界内で海外展開に向けた機運が高まっていると考えております。そうした中、昨年11月に、官民を挙げた支援体制を構築するために、札幌市や複数のIT企業・団体などによって実行委員会を設置したところでございます。また、この実行委員会は、ことし1月に企業の進出希望先としてニーズの高かったベトナムにおいて商談会を開催いたしましたが、ここには市内企業8社が参加し、その直後のアンケートでは数社から成約の見込みがあるとの回答を得るなど、今後のさらなる販路拡大が期待できるものでございます。  こういったことから、環境関連産業やIT産業は、今後、一層の海外展開の可能性が期待できる有望産業であると考えておりまして、来年度は支援施策をより積極的に展開するものとしたところでございます。 ◆林清治 委員  北海道が長く交流を続けている中国東北部、札幌市の姉妹都市である瀋陽は、寒冷地でもありまして、そして工業地帯でもありますので、札幌の企業の技術は効果的であり、中国においても需要が高いと思われます。食に続いて、環境関連産業、そしてIT産業など、札幌に強みがある産業群の海外展開が期待できる状況でございます。企業のニーズを踏まえて、しっかりとした支援を展開していただきたいと思います。  続いて、有望産業海外ビシネス展開支援事業のうち、環境関連企業の海外展開支援の取り組みについて具体的にお伺いしたいと思います。  さきの第4回定例会の代表質問で、インフラビジネスグローバル化事業の課題や今後の展開について伺ったところ、理事者からは、企業単独での交渉は容易ではないことから、北海道などとも一層連携し、企業の海外展開を継続的に支援していくことが必要と答弁をいただきました。  また、札幌市では、上田市長時代から、北海道に対し、さらなる連携強化を働きかけるとともに、北海道の発展なくして札幌の発展はないとの考え方のもと、道内各市町村との連携も推進するなど、オール北海道体制の素地を構築してまいりました。  加えて、上田市政を引き継いだ秋元市長は、北海道との連携強化を具体化するため、いち早く北海道・札幌市行政懇談会を開催し、昨年12月に開催された2回目の懇談会では、政策判断に向けた意見交換や情報共有をする中で、道と市の海外拠点を活用し、企業の海外展開を連携して進めていくことで合意したと伺っております。先日の道議会においても、高橋知事は、札幌市と連携して中国向けに環境関連の技術や商品の販路拡大を図ると答弁したとのことです。今後、札幌市と北海道は、情報共有や協力といった連携から一歩進めて、双方の施策展開の中でしっかりと共同して取り組んでいくことが必要と考えております。  そこで、次の質問ですが、環境関連企業の海外展開を支援するため、北海道と具体的にどのような連携を行い、事業を展開していくつもりなのか、お伺いいたします。 ◎山田 国際経済戦略室長  環境関連企業の海外展開支援に当たっての北海道との具体的な連携とその事業展開についてでございます。  これまでも、札幌市と北海道は、環境技術に対してニーズが高い中国への販路開拓を図るため、情報の共有や、中国や札幌においてそれぞれが開催してきた商談会に際しての市内や道内企業の募集など、連携して実施してきたところでございます。来年度は、より一層、効率的・効果的に事業を実施するため、両者を中心とする協議会を設置し、予算を一体的に執行するとともに、企業からの問い合わせ窓口を一元化するなど、オール北海道による支援体制の強化を図ることとしております。こうしたことにより、海外展開の意欲や潜在性がある企業の掘り起こしから、こうした企業に対しての海外展示会への出展支援や札幌での商談機会の提供、さらには、海外展開の実現性の高い企業に対する個別支援までを包括的に実施していきたいと考えております。  また、企業にとって大きな課題の一つである信頼できるパートナーの発掘を支援するため、札幌市、北海道がそれぞれネットワークを有する瀋陽市や中国東北3省などを初めとした各地の現地政府に協力を仰ぎ、有力な現地企業との商談機会を一層提供してまいりたいと考えております。 ◆林清治 委員  食関連産業に加えて、環境関連産業、そしてIT産業も海外展開の有望な産業と位置づけ、より多くの市内企業の海外展開を支援していくという札幌市の姿勢は、一つ評価できるというふうに思います。  一方、中国を初めとする世界各地では、高齢化の進行が社会問題となっており、これらの解決に寄与する健康・福祉産業なども海外のニーズが高まると考えております。また、経済成長が続く地域では、生活水準の向上とともに、サービス産業の需要が高まり、新たな市場が生まれてくることも想定されます。けさの北海道新聞にもそういう記事が載っていましたが、今の答弁にもあったJETROなどとの協議会を有効に活用しながら、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  また、先般の報道によると、メガネのプリンスがベトナムやマレーシアに進出するなど、市内のサービス関連企業の一部ではもう海外進出に取り組んでいるということです。札幌市も、関連団体と連携を強め、常に経済界にアンテナを広げて企業ニーズを把握するとともに、現状分析を行い、市内企業の海外展開を後押ししていただきたいと考えます。特に、北海道や国、経済界などと連携を強めていくこととなりますが、市内企業への支援というのは札幌市が率先して行う大変大事な事業であるという思いを持ち、取り組むことを求めて、質問を終わらせていただきます。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、地域商店街におけるインバウンド消費促進の取り組みについてと健康関連産業研究開発支援事業について、2点質問いたします。  最初に、地域商店街におけるインバウンド消費促進の取り組みについてお伺いいたします。  近年、札幌市を訪れる外国人観光客は急増しており、観光文化局の資料によれば、平成27年度上期の外国人宿泊者数は86万5,000人と過去最多となっております。訪日外国人観光客によるインバウンド消費は、爆買いと言われるように、1人当たりの消費額単価が高い傾向にあり、インバウンド消費により一層取り組んでいくことは、札幌市の稼ぐ力を強化する上で非常に重要であります。  過日の新聞報道においても、狸小路商店街で多くの外国人観光客が両手に買い物袋を抱えている様子が紹介されており、中国経済は昨年後半から減速傾向とされてはいるものの、ドラッグストアの売り場担当者などによれば、客数や金額の減少は特に感じられないとのことでございました。こうしたインバウンド消費を積極的に取り込むために、外国人観光客が多く訪れる百貨店やお土産店などの商業者では消費税免税店の登録やWi−Fi環境の整備といった取り組みをしているところがございます。  このような状況を踏まえ、本年度、経済局では、インバウンド消費の取り込みによる都心商業のより一層の活性化を図るため、まちなかインバウンド促進事業を実施しております。本事業は、薄野にある商業施設のススキノラフィラにおいて、手続委託型消費税免税店制度を活用し、道内で3例目となる、複数の店で買った品物の免税手続をまとめて行う免税一括カウンター導入実証実験を行っていると伺っております。  そこで、1点目の質問ですが、まちなかインバウンド促進事業の進捗状況及び参加店舗からの声などはどのようなものがあるのか、お伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  1点目のまちなかインバウンド促進事業の進捗状況についてでございます。  ススキノラフィラでの免税一括カウンター導入実証実験には、土産物店や服飾店、雑貨店など7店舗が参加し、本年1月25日から55日間にわたり実施しているところでございます。免税一括カウンターの利用状況といたしましては現時点で1日当たり数件となっておりますが、外国人観光客に対してどのようなPRが有効なのか、複数の方法を試みているところでございます。  次に、2点目の参加店舗からの声などについてでございますが、今回、免税一括カウンターに参加している店舗からは、カウンターで案内するだけでよいので店での手間やコストがかからないとか、合算した額が免税対象になるので複数の店舗での買い回りが期待できるなどの声が寄せられているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  まちなかインバウンド促進事業につきましては、課題の抽出や効果の検証をしっかりと行い、今後さらに広く周知することで、より多くの商業施設がインバウンド消費の促進に取り組んでいただけるよう求めるものであります。  ところで、外国人観光客数が過去最高レベルとなっている中、インバウンド消費の促進に向けた取り組みは都心エリアが中心となっており、郊外の商店街まで消費拡大効果は及んでいないと思われます。  本年度、経済局では、地域商店街支援事業を創設し、その支援メニューの中で、地域課題解決を通した商店街の活性化事業を支援することにしております。地域の課題にはさまざまなものがあると思われますが、外国人観光客によるインバウンド消費の取り組みを促進していくことも新たな視点ではないかと考えます。特に、地域経済を支えている商店街にとっては、今後、人口減少や超高齢社会の進展により、市民による消費の減少が見込まれるため、地域にお住まいの方のみならず、観光客、とりわけ外国人観光客のインバウンド消費によって活性化を図っていくことも重要であります。  そこで、質問ですが、本年度、都心エリア以外の商店街において、経済局の支援制度を活用したインバウンド消費促進に向けた取り組みがあるのか、あるのであればどのような事例があるのか、お伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  地域商店街におけるインバウンド消費促進に向けた取り組みの事例についてでございます。  今年度、地域商店街支援事業を創設したことで、地域課題に応じて自由に事業を提案できるようになったことを受け、外国人観光客への対応やおもてなしなどを通してインバウンド消費促進にもつなげていこうとしている商店街が複数ございます。具体的に申しますと、南区の藻南商店街において、地元の大学と連携した外国人観光客向けのマップやロゴを作成した事例や、中央区の場外市場商業組合において、多言語のマップを作成してホテルと連携して配付している事例のほか、白石区の本郷商店街では、外国人観光客向けのチャレンジショップの誘致を計画しているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  南区の大学連携による外国語のマップの作成などは、南区のアパホテルなどに多くの観光バスが乗り入れている現状を見た商店街が、逆に札幌市に働きかけて取りかかったと伺っております。まだまだ一部の地域商店街ではありますが、インバウンド消費の取り組みに向けた動きが出てきていると思うところもあります。  市内ホテル周辺や商店街、施設では、外国人観光客がナイトショッピングを楽しむ姿は、実は私の住む新札幌でも多く見られるところであります。おいしいものを食べた、何かを体験したということがSNSで発信され、口コミで広がっていく今日、観光施設やホテル周辺の商店街など、決して全ての商店街が当てはまるものではないにせよ、外国人観光客を呼び込むことができる可能性は十分あると考えます。  そして、観光施設や宿泊施設などと連携した取り組みをしっかりとつくることにより、外国人観光客は、都心エリアだけではなく、市内各所を訪れると同時に、地域商店街へのインバウンド消費の普及効果につながり、ひいては、交通機関の利用促進といった経済効果も視野に入れた展開を考えることもできるわけです。  観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、外国人が訪日前に最も期待している上位の二つは日本食を食べることとショッピングとなっております。商店街等は、まさにその受け皿の役割を担うこととなり、目的地と目的地を結ぶ線から、飲食やショッピングなどの商店街が面となることで、地元の住民が日ごろ利用する地域商店街は、外国人観光客にとっては観光地と違った魅力に移り、まちに対するイメージや好感度もよりアップするものと考えます。  そこで、質問ですが、地域商店街のインバウンド消費促進に向けて今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  地域商店街によるインバウンド消費促進に向けた今後の取り組みについてでございます。商店街によって環境はさまざまであるものの、今後、地域商店街の活性化において、外国人観光客への対応は重要なポイントになると私どもも認識しております。  経済局といたしましては、ススキノラフィラでの免税一括カウンター導入実験の結果や、地域の商店街による今年度の取り組み事例などを広くお知らせすることで、インバウンド消費の取り込みに向けて意欲のある商店街がふえることを期待しております。また、外国人観光客の中には、一般的な観光地のみならず、地元の人に人気の店や隠れた名所を訪問したいというニーズも見受けられることから、こうした地域資源を活用することで集客に結びつけていく商店街の取り組みも支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  観光産業は、本市経済においても重要な要素であります。そして、観光産業の振興は、地域経済の活性化においても欠くことができない施策にしていかなくてはなりません。また、札幌市が魅力的な観光都市となるためには、市内の多くの地域で外国人旅行者へのおもてなしを充実させる必要があります。それには商店街を初めとした商業者の方々の取り組みが大きな役割を担っていると言っても過言ではなく、今後も商店街や商業者との連携強化は共通認識に立って進めていただかなければなりません。新年度の機構改革では、経済観光局となります。これまで以上に経済施策と観光施策を連携させることにより、効果的な施策展開を図っていただくことを要望し、次の質問に移ります。  次に、健康関連産業研究開発支援事業について質問いたします。  国では、京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞して以降、医療分野における研究の実用化と産業化に向けて、国家的なプロジェクトを中心とした大規模な資金の投入や、医療研究の司令塔となる組織の立ち上げのほか、法的な環境整備を進めるなど、支援に力を入れております。  一方、札幌市においても、北海道大学や札幌医科大学などにおいて先端的かつ高度な医療研究が行われております。例えば、札幌医科大学の再生医療研究では、脳梗塞や脊髄損傷による手足の麻痺や言語障害など、後遺症の改善を目的として患者自身の細胞を用いた再生医療の実用化に取り組んでおり、この分野の先駆的な役割を担っております。  私は、これまで何度か札幌医科大学に伺いまして、患者の皆さんの実際の治療経過を記録した動画も見せていただきましたが、治療前は全く動かせなかった手足が治療後は徐々に動かせるようになり、自力で歩行するようになるまでの様子は、言葉にあらわすことができないほどの驚きでした。この治療は、医薬品として2年後の製造開始を目指しておりますが、昨年には大手医療メーカーが札幌市内における新薬開発拠点の建設を表明し、ことし8月の完成を予定しているところであります。このように、医療分野の研究開発は、札幌市の産業振興上、有益な効果をもたらすことが期待でき、本市では、健康関連産業研究開発支援事業を実施して、これまでの食・健康分野に加え、平成27年度からこの分野での取り組みを行っております。  そこで、質問ですが、健康関連産業研究開発支援事業では、医療分野において今年度はどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  健康関連産業研究開発支援事業の医療分野における今年度の取り組みについてでございますが、大きく二つの取り組みを行っております。  まず、一つ目は、医療産業の集積に向けた調査でございます。札幌の現状を明らかにして、本市が進めるべき施策を検討するため、ヒアリングを通じた企業ニーズの把握や全国的にも有望な研究テーマの整理、行政、大学、企業で構成する検討会などを開催しているところでございます。  二つ目は、医療産業の担い手をふやし、裾野を広げるための支援でございます。異業種からの参入を促すため、ものづくりやIT企業などを対象として、医療用の機器や部材、ソフトウェアの製造に関する留意点などをテーマにセミナーを3回実施いたしまして、合計で126名の参加があったところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  医療に着目したこうした取り組みはまだ緒についたばかりですが、平成28年度の予算では、これまでの取り組みに加え、医療分野における企業と研究者の共同研究による補助が新たに盛り込まれております。医療分野の研究開発が事業化されるまでには実に10年から20年という長い期間を要することが多く、その過程では、ベンチャーを初めとする地元企業ができるだけ早い段階から参画し、開発状況に応じて大企業の協力も得ながら進めていくことが理想的であります。初期段階の研究に地元企業を結びつけることによって企業の新規事業育成と研究の進展が同時に期待されるものの、中小企業にとっては、事業化の可能性がある有望な研究を独自に見出すことはなかなか難しいところであります。  そこで、2点目の質問ですが、そうした課題がある中、来年度から新たに実施する医療分野の産学共同研究についてどのように支援していくのか、お伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  医療分野の産学共同研究に対する支援についてでございます。  市内には、創薬や医療機器といった医療分野のベンチャー企業が複数存在するとともに、昨年以来、ベンチャー企業の新たな立ち上げが続いております。こうした動きを大事にしつつ、各大学や産学連携に知見のある支援機関との連携を深めながら、企業と研究者による研究発表交流会なども開催して、市内企業と大学の研究がうまく結びつくよう支援してまいります。このほか、来年度は、医療分野の若手研究者に対しても補助を行い、将来有望な研究の芽を発掘して、市内企業との共同研究につなげてまいりたいと考えているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  ベンチャー企業が立ち上がってきているというお話もありました。また、来年度からは、医療分野の若手研究者への補助を実施するということでございました。先ほど申し上げた札幌医科大学の事例は、研究者が30代に着想し、その創造的な研究に、約20年もの間、地道かつ粘り強く取り組んだ結果、今まさに開こうとしているものです。こうした将来有望な若手研究者を支援することは、札幌の未来を担う研究や医療の人材育成の観点からも極めて重要であります。  しかしながら、たとえ将来有望な研究であっても、多くの若手研究者は、研究費の獲得がままならず、有期雇用が拡大して不安定な環境に置かれ、腰を据えて研究に取り組むことができない状況が続いていると聞いております。ついては、札幌市の取り組みには、ぜひ期待するところであります。  先ほどの1点目の答弁において医療産業の集積に向けた調査の話があったと思いますが、他都市では集積を実現している自治体もあります。例えば、国内の先進地である神戸市は、まだまだ課題が多いと感じるところはありますが、震災からの復興を契機とした先端的な医療研究と病院の集積を図り、それを強みとした神戸医療産業都市を掲げ、20年近い行政の取り組みによって、現在では300を超える企業が進出しております。  こうした医療産業を集積することが実現できれば、相乗効果により医療機能の一層の高度化が図られ、我が国における北の中心都市である札幌市は、ロシアや中国などからも治療拠点としての注目が高まるものと思います。医療は、目覚ましく発展しております。陽子線治療などは部位によって治療が行われ、まさにピンポイントです。入院先に宿泊せず、治療後は定山渓に泊まってもらう、そんな高度医療のポテンシャルは札幌医科大学なども持っているものと思います。  そこで、質問ですが、札幌市においても、有望な研究や企業を生かし、将来を見据えて医療産業の振興に向けた集積を促進していくべきではないかと考えます。市としての決意表明も含め、ぜひとも局長にご見解を伺いたいと思います。 ◎荒井 経済局長  委員からもお話がありましたように、札幌市内には、再生医療の研究に加え、最先端のがん治療装置が存在します。そのほか、最近では、がんの遺伝子検査によって個々の患者に合ったがん治療をしていく見通しが立ったという報道もされております。国内でも先端的な研究がなされておりまして、高度な医療が提供される環境が整っているのではないかと思います。  こうした点や理系人材の雇用創出の観点から、本市といたしましても、医療分野の研究を生かした産業振興には非常に注目しているところでございます。このため、現在実施している調査の結果なども踏まえて、札幌の強みを見きわめながら、医療産業の集積を実現していくための施策をスピード感を持って進めてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  今、局長から示していただきました医療人材、理系人材を北海道の中でもしっかり確保していくことは、とても重要な視点だと思っております。有望な研究や企業を生かすためにはやはり時間がかかることになりますが、人材育成を含めた医療関係への投資は、間違いなく将来の札幌というまちの大きな評価と都市としての魅力につながるものと思います。  この事業は、将来有望な若手研究者を支援することにより、札幌の未来を担う研究や医療の人材を育成する上では極めて重要な事業であります。札幌市においては、ぜひとも若手研究者への支援を継続して行っていただくことを求め、質問を終わります。 ◆こんどう和雄 委員  私からは、商店街の活性化に向けた連携の促進について、4点質問させていただきます。  市内にある各商店街は、いつも地域に根差し、人々が出会い、そして、語らう日々を送るための交流の場として、地域のために一生懸命頑張ってきました。そして、地域の歴史や伝統をしっかり承継して、それをばねに発展し、さらには、一番大事な防犯や防災などのさまざまなコミュニティ活動の担い手として、今日まで地域のために活発に働いてこられたと私は感じております。  しかしながら、店舗数が年々減少して、地域とともに歩いていくことが非常に難しくなってきているのが現状です。店舗数の減少というのは、とりもなおさず、担い手がいなくなっています。高齢化に拍車がかかっているということで、跡継ぎの方もいなくて、活動を休止したり解散してしまう商店街もあります。私の身近なところでは、昨年、中の島商店街振興会が残念ながら解散いたしました。何と32年間にわたって地域のために一緒に歩んできましたが、本当に残念のきわみでございます。  私が経済局に確認した、過去4年間の市内の商店街数の推移を申し上げますと、平成23年が98、24年が93、25年が91、26年が86と一貫して減少してまいりました。商店街数のピークは平成6年で、138でしたから、何と、ピーク時から4割減という大変残念な結果になっております。  このように商店街数が減少し続けている中で、経済局には大変ご苦労をいただいておりまして、いつも商店街の活性化に向けていろいろな施策を打ってサポートされておりますが、これまでの細分化されていた支援事業を再構築して、新たに地域商店街支援事業を創設しております。地域商店街支援事業は、にぎわいづくり型と地域課題解決型の二つの補助制度があり、さらに、ファシリテーター派遣というメニューがあります。  そこで、1点目の質問ですが、地域商店街支援事業の三つの支援メニューのそれぞれの狙いを改めてお聞かせください。  あわせて、本年度の活用状況についても教えていただきたいと思います。 ◎小野 産業振興部長  地域商店街支援事業の三つの支援メニューのそれぞれの狙いと本年度の活用状況についてのご質問でございます。  まず、にぎわいづくり型につきましては、夏祭りなどのイベントへの支援を通じた商店街のにぎわい創出を狙いとしており、本年度は28の商店街に活用していただいております。  次に、地域課題解決型につきましては、商店街が地域の実情に応じてみずから企画した地域課題の解決を通した活性化事業に取り組むことで、商店街の魅力を高め、地域における存在感を発揮することを狙いとしており、本年度は20の商店街にご利用いただいております。  最後に、ファシリテーター派遣についてですが、商店街に対して、課題解決に向けたアイデアを引き出しながら合意形成を促す会議のまとめ役となるファシリテーターを派遣することで、新たな企画や事業を創出することなどを狙いとしており、本年度は九つの商店街に派遣させていただいているところでございます。 ◆こんどう和雄 委員  ただいまのご答弁によりますと、地域商店街支援事業では、商店街の状況に応じて支援が可能になったということでございます。私は、せっかくの支援事業ですから、ぜひとも多くの商店街に活用していただき、活性化にしっかりと取り組んでいただきたいなと思います。  中には、支援事業を活用できていない商店街もあるのではないかと思います。その大きな要因は、冒頭で申し上げましたように、担い手不足、高齢化、跡継ぎがいないということでありました。そういうことを考えますと、商店街によるまちづくり活動を活発にできない地域では、町内会あるいは大学、NPO等といった地域の団体と連携していくことが一番望ましいのではないかと思っております。  私の地元の平岸中央商店街振興組合では、平岸天神ソーラン踊りがあります。また、平岸地区町内会連合会は商店街と協定書を結んでおりまして、まちをどうするかということで連携を密にしております。その一方で、地元にある北海学園大学は、学生だけではなく、大学の学生課とともに、大学全体を巻き込んでさまざまな連携をしながら取り組んでおります。つまり、連合町内会、北海学園大学、商店街というのが、商店街の活性化になくてはならない図式となっております。その取り組みには連携プレーが重要な鍵になると確信しております。
     北海学園大学との連携の成功例を挙げますと、毎年6月に札幌の大通で開催されるYOSAKOIソーラン祭りがあります。平岸にも会場がありまして、当日は、警察署のご協力もいただいて、国道453号を何と6時間もとめて実施しております。国道をとめるということですから、至難のわざでございました。6時間にわたって車両を全面通行どめにいたします。ここには必ず50チーム以上が参加して、地方車を先頭に、平岸ハイヤーの前から地下鉄平岸駅まで踊り子が自由に国道を練り歩きます。平岸において、1年で一番にぎわいのあるときがYOSAKOIソーラン祭りであります。  これについては、先ほど言ったように、商店街、町内会、それから大学が一枚岩になり、人、物、金を惜しみなくということまではいきませんが、限られた予算の中で責任を明確にしながら協力体制を構築していることに意味があるのではないかと思います。それによって、今日まで犯罪のない、明るく元気で安全・安心な住みよいまちづくりを培ってきたのではないかと思います。  私は、地域商店街の活性化を第一に掲げて、長い間、頑張ってまいりましたが、経済局の皆様が予算面などでサポートしていただいたことで、いいまちになってきたと実感しております。私がかかわってきた中で一番重要なポイントを申し上げますと、私は、その商店街の理事長から事務局長に至るまで、商店街の組織体制がしっかりしているかどうかに関心を持っておりました。一言で言いますと、やる気があるのか、ないのか、そういう点に尽きるのではないかと思います。  私は、商店街の事務局長と何回もお会いして意見交換してまいりましたが、やはり、人材を一番に上げたいと思います。実は、この事務局長は、18歳から22歳という北海学園大学の若い学生に対して、日ごろから厳しさと優しさを持って指導、教育しているそうです。商店街の個店のオーナーというのは、商品の仕入れとか、余った商品をどう処分するかとか、あるいは、資金繰りがどうだったとか、社員教育も含めて、365日、頭の休まる暇がないくらい大変な方が多いわけで、毎日、体を張ってやっておられます。そこで、若い学生には、決してお手伝いとか力仕事だけをしに来たということではなく、このことをきっかけにいろいろなことをしっかり受けとめていただければ、社会人になって会社に勤めたときに現場でのこうした体験が生かされるのではないかと思って、そういうことを強く指導しているということでした。  一方、この事務局長は、個店のオーナーに対しても、大型店、スーパーがあるからなどと人のせいにするなと言って戒めております。二つ目は、当たり前の顔をして当たり前に店を出すな、そんな店はすぐに潰れると言っておりました。さらに、お客様が入りやすい店か、魅力があるお店か、そして、何か一品でもいいので、ここの店にしかないものを必ずメニューとして持っているか、あるいは商品として持っているか、これが大事なことだと話しておりました。野球で言いますと、私は直球型の商店街だと思っております。動く、働く商店街だと思います。このように大変いい形で動いている商店街振興組合だと思っております。  昨年度まで、経済局では、商店街に対して、連携した取り組みに主眼を置いた支援事業ということで、学生との連携を図る商学連携事業、また、地域のさまざまな団体との連携を図る地域連携促進事業を掲げておりましたが、本年度は、それらの支援事業を地域商店街支援事業と位置づけて再構築しております。この支援事業において、商店街と町内会や大学などとの連携を促進するという観点があるのかということが大変気になります。  そこで、質問ですが、本年度の地域商店街支援事業において、商店街が町内会や大学などと連携して取り組んでいる事例があるのか、お伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  地域商店街支援事業において、商店街が町内会や大学などと連携して取り組んでいる事例についてでございます。  南区の澄川商店街では、地元の連合町内会と協議会を結成して、NPO法人や食物・栄養学科のある大学と連携しながら、乾燥野菜を活用したまちづくりに取り組んでおります。この取り組みでは、地域の高齢者が製造した乾燥野菜を防災に向けた備蓄用食料にしているほか、商店街の小売店舗で販売したり、飲食店でのメニューに取り入れるなどの活用も予定しております。また、中央区の行啓通商店街では、地元の町内会や青年会のほか、小学校や児童会館とも連携し、将来、地域の担い手となる子どもたちが企画段階から参加できるハロウィンやマルシェなどのイベントを実施し、地域への愛着づくりや顔の見える関係づくりに取り組んでいるところでございます。  今年度からスタートした新しい支援事業では地域団体との連携を補助条件としておりませんが、補助事業の採択の選考に当たりましては、地域団体等との連携性も評価のポイントとしており、連携による幅広い取り組みを期待しているところでございます。 ◆こんどう和雄 委員  地域商店街支援事業においても、引き続き連携の観点を盛り込んで、実際にしっかり取り組まれていることは大変ベストなことであり、十分評価に値することでございます。事実、経済局産業振興部に対して、現場の商店街の皆様より、市の担当者がたびたびかわっても、引き続き十分な相談に乗っていただくことに感謝を申し上げたいという話を聞いております。  しかし、商店街によっては、みずから連携先を見つけることは非常に難しいのではないかと私は思っております。単に商店街に連携を求めるだけでは、せっかく立派な支援事業があっても、器をつくって魂を入れなければどうしようもありません。そこで、地域の事情をよく知っていて身近な存在である区役所がかけ橋となってかかわっていただき、商店街と町内会などとの連携をコーディネートすることが非常に効果的ではないかというのが私の持論でございます。  私ごとで恐縮ですが、一昨年の予算特別委員会においても、商店街の振興を一部局である経済局だけが担うのではなくて、地域のまちづくりセンターや区役所においても商店街の活性化に協力していただくことはできないのかという質問をしております。また、昨年の第2回定例会の議案審査特別委員会において、我が会派の松井委員が、区が商店街振興を担うことの必要性について指摘したところです。  そこで、質問ですが、地域において商店街と町内会や大学などによる連携が促進されるようにどのように取り組んでいくのか、質問いたします。 ◎小野 産業振興部長  商店街と町内会や大学による連携が促進されるための取り組みについてでございます。  委員がご指摘のとおり、地域の実情をより把握している区役所において商店街と地域団体の連携を支援することは、商店街だけではなく、地域全体の活性化に資するものと考えております。経済局の支援に加え、区役所においても商店街によるまちづくり活動をサポートすることにつきましては、これまでも一部で取り組んできたところではございますが、新年度から改めてそのような支援をスタートさせたいと考えているところでございます。また、商店街によっては、具体的に連携して取り組む事例がわからないというような声もあることから、連携による事例を商店街に周知するなど、これまで以上に丁寧な情報提供に努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆こんどう和雄 委員  最後に、せっかくの機会でございますので、荒井局長にお伺いします。  荒井局長、大変長い間、ご苦労様でございました。経済局長として、札幌市内の商店街において、経済の活性化あるいは金融面についても大変ご尽力いただきまして、経済の荒井局長と言われていたのではないかと私は考えております。  中でも、商店街の再生事業あるいは商店街のにぎわいづくり、空き店舗対策など、直近ではさっぽろプレミアム商品券等で辣腕を振るっていただきまして、商品券も大変好評でございました。  経済政策の重要な鍵を握っている商店街は、地域とともに生き続けなければいけないということなのですよ。それが市民の皆さんの幸せにつながると私は確信しております。そういう面で、最後に、商店街が地域のために生き生きと長く生き続けられるためにどんな思いで頑張ってこられたか、経済局長としてのお考えについて、格調の高いご答弁をお願いいたします。 ◎荒井 経済局長  段々ハードルが上がってきまして、ちょっと当惑しておりますが、商店街につきましては、この3年間、振興のことで考え、悩んできました。  まず一つは、商店街の皆さん自身が、地域を含めて、商店街をどう発展させていくのかを真剣に考えることが基本だと思います。そして、そのために日々努力されている方が多数いらっしゃるということは、私も存じ上げております。  その上で、先ほど小野部長からも答弁がありましたように、やはり、商店街は地域の中に存在しておりますので、松井委員からもご指摘がありましたが、私の区長時代にも地域振興と産業振興が結びついていかなければいけないだろうということを現場で感じておりました。そういったことから、今後は、区役所の中でも、地域振興だけではなく、産業振興という視点も入れながら、まち全体を活気づけていくことができるようになっていくのではないかと思います。  後輩たちへのそういう期待も込めて、商店街を中心としたまちづくりが進んでいくことを期待したいと思っております。 ◆中山真一 委員  私からは、経済局の事業実施のあり方について、来年度の新規事業である二つの事業のさっぽろ成長企業育成プロジェクト事業と映画・音楽・IT複合イベント創出支援事業に絡めて、4点伺います。  世間では、無駄な事業や税金の無駄をなくすということがよく言われますが、この無駄というのは何だろうかと。札幌市の事業も見渡してみても、一見、必要性や費用対効果が低いと思えるような事業がなぜ存在するのだろうかと思うことが、正直、間々ございます。  自分なりに分析していきますと、最初から無駄だと思われる事業は余りないと思います。多くは、二つのパターンに整理されるのではないかと思います。一つは、時代背景等によって生まれた事業ですが、今は優先順位が低いもの、二つ目は、特定の団体や勢力との関係性の中で生まれたものだけれども、多くは当事者の創意から離れてしまっているものがあるのではないかなと私なりに考えます。こういった無駄だと思われるような事業が存在し続けることを避けるにはどうしたらいいかというと、私は最初が肝心だと思います。新規に事業を始める時点で、それを防ぐための仕組みや考え方を組み込んでいくことが必要であるというふうに思います。  議会の審議を見ていても、どんな現状の課題認識があって、何の課題解決のためにその事業が存在するのか、その事業の目的や目標、そのつながりが明確に見えてこないことも多くございました。そもそも、事業が始まるのは、その前にその背景となる地域経済に対する現状認識、課題の認識があって、その課題解決のために新たな事業が生み出されるはずだと思います。  当然、その事業には、課題解決のための明確な目的があって、その目的を実現するための目標があります。その目標によって達成度や進捗を検証、評価できることで、事業の修正も見直しもできます。その上で、節目節目で想定した目標を達成できていない場合は、結果に責任を持って廃止も考える、そのような仕組みがないと成果も生まれませんし、結果として費用対効果が低いと思われる事業が生き残っていくことにもなりかねません。限られた財源の中で、より求められる事業を始めることも難しくなってしまいます。社会環境の変化に応じて、行政が果たすべき役割も当然変わってしかるべきだと思います。それを体現したものが新規の事業でないとおかしいというふうに私は考えます。  本日は、そのあたりを意識しながら伺ってまいりたいと思います。  このことを考えていくに当たって参考になるのが大阪市のことです。私は、今はまだ維新の党の所属でありますが、維新の地方議員としての私が見る大阪での維新の行政経営の一番の本質や成果は、行政運営における三つのルールの徹底とその仕組み化にあると思います。まず、一つ目は、施策と事業の関係の明確化であります。二つ目は、施策目的の達成度及び成果の数値化です。三つ目は、達成度による事業撤退判断のルール化です。これをかなり意識して行政運営を行ってきております。これはアカウンタビリティーという考え方で、政策の目標と過程と、その結果、それぞれにきちんと責任を持つということですが、この考え方はほかの自治体にも徐々に広がってきております。  このような視点を参考にしながら見ていきたいと思いますが、それぞれの新規事業について見ていく前に、まず、その大前提となる札幌経済の現状、課題認識と、それに対して本市の果たすべき役割についての認識を共有したいと思います。  先ごろ発表されました経済センサスによりますと、2014年7月1日時点での本市の就業者数は、2009年と比べて1.6%、1万5,130人の減であります。人が余って仕事が足りないというところから、人手不足という極めて大きな変化だと私も考えます。  そこでまず、札幌経済の動向と課題をどのように認識されているのか、現状認識を伺います。  また、その課題に対して、本市としてどのように対応しようとしているのか、あわせて伺います。 ◎小野 産業振興部長  まず、札幌経済の動向についてでございます。  企業経営動向調査によりますと、本市企業の景況感は、リーマンショック以降、おおむね回復傾向にあります。また、札幌圏の有効求人倍率は、昨年10月に1.0倍を超える水準となったほか、市内企業へ行ったアンケート結果によると、直近5年間の売上高が増加したと答える企業の割合がふえるなど、総じて札幌の経済情勢は上昇傾向にあるものと考えているところでございます。  次に、札幌経済の課題とその対応についてでございます。  委員のお話にもございましたが、先ほどのアンケートによりますと、これまで経営上の問題点として多く挙げられていた収益率の低下、売り上げ不振にかわりまして、人手不足と答える企業が大幅に増加しており、生産年齢人口の減少が今後も見込まれることとあわせて、将来的に労働力の不足が懸念されるところです。そのため、企業側への人材確保支援を強化していくことに加え、働く人にとって魅力的な企業を育てていく必要があると考えております。  また、市内企業の9割以上が、売り上げが最も大きい市場として市内を含む道内と回答しておりまして、道内人口の減少に伴う市場縮小への対応も大きな課題と認識しております。そのため、域外からの外需獲得の取り組みを強化するとともに、産学官が一体となって新たな取り組みに挑戦しながら、人・物・金という投資を呼び込んでいくことが重要であるというふうに考えているところでございます。 ◆中山真一 委員  今のご答弁では、札幌の経済の動向は上昇基調であるけれども、人手不足や道内市場縮小への対応が課題だというお話がありました。私も、今ここで認識を共有できたと思います。  今の大きな社会の変化の中で、経済局の果たすべき役割や事業のあり方も当然変わってくるというふうに考えます。継続の事業に関しても、以前より、これらの社会情勢の変化や課題の変化に応じて見直しや廃止をしていかなければならないと思います。来年度からの新規の事業については、当然、この課題認識を背景に設計されたものだというふうに考えます。新たな課題の解決に資する事業に新たに取り組まれることは、まずもって、それ自体、評価したいと思います。  そこで、ここからは、そのことを踏まえ、具体的に来年度の新規事業のさっぽろ成長企業育成プロジェクト事業と映画・音楽・IT複合イベント創出支援事業について伺ってまいりたいと思います。  まずは、さっぽろ成長企業育成プロジェクト事業について伺います。  本事業は、日本経済をリードするような革新的な経営者などを講師として招聘し、市内の若手経営者を対象とする勉強会等を実施すると伺っております。首都圏などでは、私も30代のころに参加したことがありますが、民間のコンサルティング会社や社会人向け大学院などがこの種の取り組みを盛んに実施しております。一方で、札幌市内においては、残念ながら、成長意欲のある経営者が刺激を受けるような学びの場や経営者同士の交流の機会が少ないと認識しておりました。そのようなこともあり、本事業を通じて多くの若手経営者が触発され、先ほどの答弁にもありましたが、経営上の課題解決はもとより、新事業の展開などに取り組むきっかけになってほしいと期待しております。  一方で、このような事業においては、最初に目的や方向性が明確になっていないと、具体的に参加者や講師、内容、進め方等を詰めていく段階で判断がぶれてしまうと思います。その結果、輪郭のはっきりしない事業になってしまい、当初想定していた成果につながらないことが間々ございます。例えば、参加者のニーズと中身がうまくマッチングせず、ともすれば、著名な経営者による単なる講演会となってしまう可能性もあると懸念しております。そうならないためにも、事業の実施に当たっては、しっかりと狙いを定めた上で取り組む必要があるというふうに考えます。  そこで、さっぽろ成長企業育成プロジェクト事業の目的を伺います。  あわせて、その目的達成のための目標について、札幌市のお考えを伺います。 ◎小野 産業振興部長  まず、さっぽろ成長企業育成プロジェクト事業の目的についてでございますが、地域経済を取り巻く環境が大きく変化する中で企業が厳しい競争を勝ち抜いていくためには、現状を打破し、新たな取り組みを積極果敢に進めていくことが重要というふうに考えております。このため、本事業は、経済界などと連携しながら、経営者のチャレンジ精神や創意工夫などを引き出し、自主的な取り組みにつなげ、受講者の中から世界に羽ばたく成長企業を数多く生み出していくことを目的として実施したいと思っております。  その事業の目標につきましては、現時点での考えではございますが、将来有望な多くの経営者に参加申し込みをいただくこと、それから、受講者にとっての満足度の高い内容にすることなどと想定しているところでございます。 ◆中山真一 委員  目的は、チャレンジ精神や創意工夫を高めて、世界に羽ばたく企業を育てていくことだという、かなり夢のあるお話を伺えて私はうれしく思いました。今後は、ぜひ、この目的がぶれないように進めていただければと思います。今後も、今、伺った目的や目標を踏まえて、進捗状況や成果について評価、検証させていただきたいと思います。  次に、映画・音楽・IT複合イベント創出支援事業について伺います。  映画・音楽・IT複合イベント、いわゆるNo Mapsは、札幌国際短編映画祭を核として、映画、音楽、ITの分野を複合した取り組みであります。アメリカ・テキサス州のオースティンで毎年開催されている世界最大規模のビジネスコンベンションのサウス・バイ・サウスウエストなどを参考に、札幌独自の国際コンベンションとして開催するということです。サウス・バイ・サウスウエストは、ツイッターがこのイベントでのアワード受賞をきっかけに大ブレークしたことでも知られておりますが、まさに、現在開催中のことしのサウス・バイ・サウスウエストでは、オバマ大統領の基調講演も行われ、日本からも、経産省や東京大学など、多くの企業がブース出展や視察に訪れていると伺っております。  世界に目を向けてみますと、映像、音楽、ITを初め、さまざまな分野を融合した新たな価値の創出から、さらに、新しい技術やアイデア、新たなビジネスが連続的に生み出されております。ITやコンテンツ産業に力を入れてきた札幌市において、冬季オリンピック・パラリンピック招致も見据えたこのタイミングでこうした分野横断のイベントがスタートすることは、意義のあることだとも考えます。  しかしながら、複数の分野を対象とし、しかも、さらにそれが融合することで新たな価値が生まれてくるように、このイベントを育てていくことは決して簡単なことではないと思います。私自身も、これまでいろいろなイベントに携わってまいりましたが、たくさんの失敗を経験してきました。成果につなげるためにも、将来のビジョンやイメージを明確にし、計画的かつ緻密にオペレーションしていくことが重要だと考えます。  そこでまず、映画・音楽・IT複合イベント、No Mapsの全体的な事業目的を伺います。  あわせて、事業の輪郭をより明確にさせていただくため、来年度開催するプレイベントの事業内容と収支予算の見込みについても伺います。 ◎山田 国際経済戦略室長  映画・音楽・IT複合イベント、いわゆるNo Mapsの全体的な事業目的につきましては、大きなものとして4点設定しております。1点目はクリエーティブ産業の活性化と他産業への波及、2点目は創業支援、新産業の創出、投資の促進、3点目は創造的な市民文化の醸成、そして、4点目は札幌、北海道の国際的知名度、魅力の向上を図ることでございます。  次に、ことし開催するプレイベントの事業内容ですが、映画部門では、第11回札幌国際短編映画祭を開催するとともに、食とのコラボレーションを図るため、飲食店での作品上映や映像ビジネスに関するセミナーなどが予定されております。音楽部門では、映像やITと融合した若手ミュージシャンのライブや音楽ビジネスに関するセミナー、IT部門では、AI、いわゆる人工知能に関するセミナーやワークショップ、それから、先端技術などの展示、体験、商談会などを予定しているところでございます。  また、収支予算は、総事業費として1億2,000万円、収入内訳として札幌市負担金が5,000万円、そして、興行収入や協賛収入として7,000万円を見込んでいるところでございます。  なお、最終的な事業計画と収支予算については、現在、準備委員会において検討を続けており、4月に発足する予定の実行委員会において決定するところでございます。 ◆中山真一 委員  今、いろいろな目的や内容のお話を伺いましたが、横文字が多くて頭にしっかり入ってきません。今、おっしゃっていたことと異なる分野を融合することによって新たなビジネスをつくり出していこうというイベントの手法については、評価、賛同いたします。このような手法のイベントは、国内において余り例がないと伺います。参考としているサウス・バイ・サウスウエストも、現在のような規模や形に成長するまでに20年以上を要しております。このイベントをしっかり育てていくには、民間の発想を生かしながら、中長期の視点に立って事業を推進していくことが必要であると思います。  一方、今のご答弁にもありましたが、このイベントには、プレイベントとはいえ、来年度、札幌市から5,000万円もの負担金が拠出されると伺いました。イベントを成功させるためには、実効的な事業計画を立てるとともに、目的を達成するための事業目標とその達成度をはかる成果指標を定めて、節目節目でしっかりと検証、修正していくことが必要だというふうに考えます。  そこで、伺います。  来年度実施のプレイベントの目標とその成果指標について、お考えを伺います。 ◎山田 国際経済戦略室長  プレイベントの目標と成果指標についてでございます。  最終的に事業目的を達成するためには、中長期的な視点を持って、毎年、成果を積み上げていく必要があると考えております。そうした前提のもと、ことしのイベントは、来年の本開催に向けてのプレイベントと位置づけているところでございます。したがいまして、ことしのプレイベントにおける目標としては、まず第一に、市民や地元企業を初め、国内外の関係者など多くの方に認知され、関心を持ってもらうことです。加えて、参加者が新たなビジネス展開につながる将来への可能性を感じ、毎年参加しようと思ってもらうことであると考えております。  具体的な成果指標としては、まずは、イベント参加者数に加えまして、参加者の今後の参加意識や商談数などを考えております。  なお、今後、それらをアンケート調査などによって把握してまいりたいと考えております。 ◆中山真一 委員  確かに、おっしゃるとおり、毎年の積み重ねが大事だということは私も共感するところです。一方、こういうイベントというのは、1年目が大変大事でして、1年目にイベント自体のブランドがある程度確立してしまいます。ぜひ、今おっしゃっていただいたように、成果指標をしっかりととっていただいて、日本、アジアを代表するイベントに育てていただければと思います。  本日の議論を踏まえまして、先ほどのさっぽろ成長企業育成プロジェクト事業もNo Mapsも、今後の進捗を点検させていただければと思います。  最後に、提案です。  先ほどもほかの委員からもありましたが、本来であれば、民間企業や金融機関がみずから資金を集め、売り上げを上げて実施すべきものであるというふうに私も考えます。民間だけで成立しないものは、そもそも市場の評価に耐えられていないということでもあります。伺ったところによると、両事業とも先々は民間だけで自立できることを目指しているということですが、事業ということで言うと、いわゆるイグジット戦略が欠かせません。  本来であれば、うまくいかなかった場合の撤退の基準も最初に決めておくべきというふうに考えます。そのときになって撤退を判断するのは、簡単ではないと思います。成果が出ていないのは、基本的に、方向性を間違えているか、実力が伴っていないかのどちらかだと思います。貴重なお金と時間を無駄にしないためにも、早く判断して、新たに必要になった事業に振り向けたほうがいいと思う場合もあります。節目節目で具体的に達成度を検証し、基準に満たない場合は、翌年度以降はもう実施しないというルールを決めていくことも必要ではないかと思います。  例えば、大阪のイルミネーションイベントの光のルネサンスは、公的支援と寄附金で実施されておりますが、毎年度の公金の拠出額を決めており、万一、想定よりも寄附金の集まりが悪く、全体の予算規模のうち、公金の割合が50%を超えてしまった場合は、イベントを中止することを事業のスタート時に決めております。  皆さんもご存じのように、経済というのは、やってみないとわからないことが大変多いと思います。そういう意味では、こういった新たなトライアルは大変評価しておりますが、本市の事業においても、ネガティブな意味ではなくて、冷静にメンバーの中で緊張感を持ってやっていくためにも、そうした仕組みの導入が必要ではないかと思います。このことを最後に提言させていただきまして、私の質問を終わります。 ○しのだ江里子 委員長  以上で、第1項 商工費のうち関係分の質疑を終了いたします。  次に、第2項 農政費のうち経済局関係分の質疑を行います。 ◆村上ひとし 委員  私は、農業振興推進費関連で、農業の担い手確保と販路拡大について質問いたします。  農業の維持と食料自給率の向上のためには、大多数の中小農家を守る対策が必要であります。本市の農業は、1960年をピークに農家戸数が減少を続け、農林業センサスによりますと、2005年から2010年の5年間では130戸が減少しており、毎年30戸程度の農家戸数の減少が続いております。農家戸数の減少とともに、農地面積もここ数年は毎年60ヘクタール程度減少しており、これ以上、農業の担い手不足が続けば、農地の遊休化や耕作放棄が一層進むことが懸念されます。ですから、農業の持続的発展には、どうしても新たな担い手を確保していく努力が必要です。  そこで、さっぽろ夢農業人育成支援事業など、農業の新たな担い手を育成するための研修及び新規就農者に対する給付金の交付などを行っておりますが、こうした取り組みによる新規就農者の確保の状況と今後の課題についてお伺いいたします。  また、全国的には、定年退職した方や女性などがさまざまな形で農業に参画することによって、地域農業を支える担い手となっている事例もあります。大都市の札幌においても、農業に関心を持っている市民、主に中高年層や女性などは少なくないと思いますが、このような市民の農業へのかかわり方をどのように評価しているのか、お伺いいたします。 ◎三部 農政部長  1点目の新規就農者の確保状況と今後の課題についてでございます。  平成24年度の夢農業人育成支援事業開始後、この4年間で16名が新規就農しております。市内の新規就農者は、単身で就農する例が多く、農作業から販売までを自分1人で行わなければならないことなどから、これ以上の経営規模や生産の拡大が難しく、十分な農業所得を得られていない方も少なくないのが現状でございます。  このため、所得を向上し、早期の経営自立を図っていただく上で、労働力の確保による生産性の向上や有利な販売先の確保が大きな課題となっております。  次に、2点目の市民の農業へのかかわりの評価でございます。  農業に関心の高い中高年や主婦などの市民が生きがいづくりなどの面からさまざまな形で農業に参画することは農地の有効活用や保全にも寄与するものと受けとめており、そうした市民も、新規就農者や中核的な担い手とともに、札幌の農業を支える多様な担い手としてその一翼を担うものと考えております。 ◆村上ひとし 委員  新規就農者は、4年間で16名ということであります。いろいろと困難が多いと思います。現在、農業就業者の高齢化が非常に進んでいるもとでは、この16名の方がしっかり大地に根を張って安定した経営ができるように支えていく必要があると思っています。しかし、初めて農業に取り組もうとするわけですから、当然、悩みや困難も非常に多いと思います。そういう点では、札幌市の寄り添った支援が必要だと思います。  それから、市民の農業へのかかわり方ですが、地域の住民がどんな形で農業に参画しているのか、全国的な先進事例に学ぶ必要があると思います。とりわけ、大都市農業を守り、発展させる上でも、農業ボランティアなど、地域の条件に合った住民の農業生産への参加を促進させていくことが重要であります。  そこで、市民が新規就農者などを支えることが求められておりますが、現在どのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。  また、農産物の販売は、生産者の顔が見える形が消費者に非常に歓迎され、地域の特徴を生かした販路の確保が進んでいます。消費者が地域の農産物を積極的に購入する、いわゆる地産地消を推進することは、農家の安定経営と生産者としての喜びにもつながるものです。ですから、本市として、生産者と市民を結ぶ販路を確保する努力が求められています。  そこで、地産地消による農産物の販売の取り組み状況についてもお伺いいたします。 ◎三部 農政部長  まず、1点目の市民が労力面で新規就農者等を支える取り組みの現状ということでございます。  札幌市では、農業の担い手確保や札幌の農業を支援する活動に取り組む、いわゆる農業応援団の育成を目的として、平成13年から市民農業講座さっぽろ農学校を運営しております。修了生の中には、習得した栽培技術を生かして営農活動を行っている方もおります。今後も、この市民農業講座などを通じて、新規就農者を支える人材の育成に取り組んでいきたいと思っております。  それから、2点目の地産地消による農産物販売に向けた取り組みの現状でございます。  札幌市では、農協などと構成する札幌市農業振興協議会を通じて、独自の基準に基づいて生産された新鮮、安心、良質な農産物をさっぽろとれたてっことして販売するなど、地産地消の取り組みを進めております。これらの農産物は、学校給食で活用されているほか、協力小売店、直売所、飲食店などで販売されておりまして、新規就農者にとっては有利な販売先の一つとなっております。 ◆村上ひとし 委員  新規就農者に対して、さっぽろ農学校で学んだ方たちがサポートに入ることを一層進めていくことで、農業者を育成するとともに、農家として定着を図っていくことが非常に重要だと思います。本格的な就農のためには、技術や販路、あるいは経営的な側面も含めて、農協など関連する機関とも連携しながら、実践的な場で本市が親身に相談に乗ることが大事です。札幌で自信を持って農家としてやっていけるよう、一層、支援を強めていただくことを求めておきたいと思います。  また、地産地消による農産物の販売というのは、大都市の特性を生かしてさまざまな形で取り組むことができますので、いわゆる強みの部分でもあると思います。学校給食や市内の店舗でも販売されているということですが、消費者には生産者と直接交流しながら農産物を購入する直売の利用ニーズが高いと言われています。  厚別区では、区役所の向い側にあるふれあい広場あつべつで、当別町の農家が軽トラ市を開催し、たくさんの地域住民でにぎわっております。特に、高齢者が喜んでいると聞いております。また、昨年、清田区で開催されたきよたマルシェでは、新規就農者を含む地元の農家が軽トラ市を開催し、好評だったことから、2016年も開催することになったと聞いております。  また、高齢化が進んだ厚別区の団地では、近くに余り商店がないこともあってなかなか買い物に行けない、いわゆる買い物難民と呼ばれるお年寄りも多いことから、団地周辺での軽トラ市などを開催すれば大変喜ばれると思います。お年寄りの皆さんが、新鮮な野菜を目の前にして、非常に生き生きと目を輝かせている光景を私もよく見かけます。例えば、厚別区は高齢化率も高い地域ですので、高齢者の施設も急激に建設されていますが、デイサービスに行かれるお年寄りが野菜を見たり買ったりするために、たくさんのデイサービスの車が長沼町のマオイの丘の道の駅に行っている光景もよく目にしますし、聞いております。また、ほとんど料理をしないお年寄りであっても、新鮮な直売コーナーに行きますと、たくさんの野菜を購入して近所に配って歩くそうなのです。ふだんは隣近所のつき合いがないのですが、そういうときには、近所の知り合いに、きょうは直売所で野菜を買ってきたということでお裾分けをしていて、いわゆるコミュニティーの活性化にも非常にいい影響を与えていると思います。
     そこで、例えば、土・日の各区役所の駐車場の空きスペースを活用し、多くの市民が足を運ぶことができる場所を積極的に確保して軽トラ市を開催するなど、消費者の直売ニーズに応える対策を一層進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◎三部 農政部長  消費者の直売ニーズへの対応策ということでございます。  新規就農者が消費者に直接販売することは、販路の確保はもとより、消費者ニーズに応えるよい機会となりますことから、大変重要な取り組みと考えております。委員の指摘にもあります軽トラ市については、昨年、きよたマルシェで大変好評だったことから、今、JAさっぽろでは、他地区での開催についても前向きに検討しているところでございます。  札幌市といたしましても、関係部署と連携して市有施設の活用を図るなど、JAさっぽろの取り組みを支援してまいりたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  軽トラ市だけではなく、直売する方法が市民に非常に喜ばれております。いろいろな地域性があると思いますが、ぜひ、その地域に合った可能な形で、関係機関とも連携を図りながら一層進める努力をしていただきたいと思います。  いろいろな方法で農産物の販路を広げることは可能だと思いますが、軽トラ市というのは、農産物を建物の中の売り場まで運搬する必要もないことなど、直売方法の中でも農家にとって非常に効率的な方法だと言われております。しかも、市民にも喜ばれますから、市の施設あるいは土地を利用して直売を一層推進し、販路の拡大に努めていただきたいと思います。  都市の農業あるいは農地は、安全な食料の提供とともに、良好な住環境を備えたまちづくり、地域の経済やコミュニティーの活性化のために重要であります。そうした点からも、担い手確保と、農業ボランティアなど住民による農業生産への参加、学校教育や市民生活との結びつきを生かした地産地消の推進など、販路の拡大は必要不可欠です。本市が農家や農協などとも連携を深め、農業の担い手確保と販路拡大に一層取り組んでいただくことを申し上げて、質問を終わります。 ◆松井隆文 委員  私からは、農業交流関連施設認定要綱の見直しについて質問させていただきます。  現在、国は、農業経営の安定化を図るため、農業の6次産業化を推進しており、全国的には、農業者みずからが生産した農畜産物の直売や加工品の製造、販売に取り組んでおります。一方、市内の多くの農業者が市街化調整区域で農業を営んでいるため、農業者みずからが直売や加工販売等に取り組む場合、施設の建築については、都市計画法との調整が図られておらず、認められておりませんでした。  札幌市では、直売や加工販売等に取り組む農業者等を支援するため、平成18年に、札幌市都市と農業の共存に資する農業交流関連施設認定要綱を定め、農業交流関連施設として認定された農畜産物の直売所、加工販売所等について、市街化調整区域内で建築できることとしております。  そこで、質問ですが、農業交流関連施設認定要綱の趣旨と概要について、まずはお伺いします。 ◎三部 農政部長  1点目の認定要綱の趣旨と概要についてでございます。  要綱は、都市と農業を結びつけ、生産者が、直接、消費者の声を聞くとともに、消費者に農の魅力を伝えていくことを目的として、農業者等が、市街化調整区域において、通常は認められていない直売所などを建築することができるように制定したものでございます。  要綱の概要につきましては、まず、認定の対象となる施設には、今、委員から指摘されましたように農畜産物の直売所と加工販売所があります。それぞれの要件としては、直売所はみずからが生産する農畜産物を販売すること、加工販売所につきましてはみずからが生産する農畜産物を量的または金額的に5割以上使用することに限っております。さらに、販売は店舗での直接販売に限定しているほか、施設は事業者みずからが耕作する農地と一体となっていること、施設規模の制限などの条件がございます。 ◆松井隆文 委員  要綱の趣旨は、単なる販売施設の建築ではなくて、農業者がみずから生産した農産物等を販売することによって農の魅力を消費者に伝えることであることは理解いたしました。  しかしながら、現行の要綱では、販売所や加工品の原材料、販売方法等の制限があり、農業者としては、施設整備に魅力を感じないのではないかというふうにも思われるところです。  そこで、質問ですが、どのような農業交流関連施設がどの程度設置されているのか、現状について伺います。  また、要綱制定から10年程度が経過しておりますが、これまで運用の中で農業者等から要望などは上がっているのか、あわせて伺います。 ◎三部 農政部長  農業交流関連施設の現状と農業者からの要望についてでございます。  現在、市が認定している農業交流関連施設は、直売所のみの施設が5カ所、直売のほかに、おそばやシフォンケーキなどの飲食ができる加工販売をしている施設が4カ所の計9カ所となっております。  農業者からの要望としては、直売所では、近年、地域の農業者の生産物の委託販売を受けてほしいという声や、共同販売所の開設などの要望がございます。加工販売所につきましては、流通業者等への卸販売などの販路を切り開いてほしいという声や、加工品の原材料について、自己生産物以外の使用割合をもっとふやしてほしいといった要望が来ております。 ◆松井隆文 委員  農業交流関連施設としては計9カ所とのことですが、余り制度が活用されていないのではないかというふうに思われるところです。農業者からは、委託販売や共同直売所の開設、加工品の販路拡大、自己生産物以外の使用の緩和など、切実な声が届いているとのことでもあります。農業交流関連施設の趣旨は理解できますが、昨今、インターネット等による通信販売など販売手段の多様化も進んでおり、また、高齢者など施設まで買いに行けない市民にも購入しやすくするべきです。  農業交流関連施設を整備したある農家からは、冬の間は夏場に比べて来店者が少なくなることから売り上げが減少し、苦労しているとの話も聞いております。しかし、国の6次産業化を支援する動きもある中、今後、ますます直売や加工販売に取り組む農家が広がっていくことが予想されるところです。  そこで、質問ですが、農業者の経営安定化を図る意味でも、農業交流関連施設認定要綱について見直しが必要な時期に来ているのではないかと考えますがいかがか、伺います。 ◎三部 農政部長  農業交流関連施設認定要綱の見直しについてでございます。  委員がご指摘のとおり、要綱制定から10年が経過し、現要綱では対応できないケースが出てきており、農業者からも具体的な要望の声が届いている状況にありますことから、札幌市の農業振興を図っていく上で、認定要綱の見直しが必要な時期に来ていると考えております。  しかしながら、この認定要綱は、建築が制限される市街化調整区域の例外にかかわるものでありますことから、要綱の見直しに当たっては、都市計画法の所管部局と慎重に調整していく必要があると考えております。 ◆松井隆文 委員  ただいま、農政部では、農業交流関連施設認定要綱の見直しに当たって、都市計画法との調整が必要との答弁でありました。そこで、都市局としてどのように考えているのか、京谷都市局長にお伺いいたします。 ◎京谷 都市局長  農業交流関連施設認定要綱の見直しについて、都市局としてどのように考えているかということについてでございます。  ただいまの農政部長の答弁のとおり、市街化調整区域は、都市計画法により、一般的に建築物の建築が制限されているところでございます。しかしながら、市街化調整区域で行われている農業につきましては、例外的に認めることができる建築物がありますことから、これまでも慎重に整理してきた経緯がございます。  委員がご指摘の農業交流関連施設認定要綱につきましても、農業振興の観点から見直しが必要ということでございましたら、都市局としても、経済局と密接に連携しながら、市街化調整区域が適正に利用されるように対応してまいりたいというふうに考えております。 ◆松井隆文 委員  現在、都市局長からは、要綱の見直しについて、経済局と連携しつつ対応していくという答弁をいただきました。要綱の見直しにより農業振興がより一層図られると期待する一方、経済局としては、農業振興を推進する立場から、農業者の切実な声を受けとめる必要があると考えるところであります。  そこで、農業交流関連施設認定要綱の見直しについての見解を荒井経済局長に伺いまして、最後の質問といたします。 ◎荒井 経済局長  認定要綱の見直しということにつきまして、先ほど、京谷局長から、経済局との調整の中で考えていきたいというお話がございました。  農業を取り巻く環境は、今までの議論の中でもさまざま出ているとおり、担い手が非常に不足している一方で、農業者の経営安定ということもきちんと考えていかなければだめだということかなと思っております。当然、調整区域でございますので、都市計画法の趣旨と我々が農業を振興していくという調和の中で考えることになりますが、都市計画法の趣旨を逸脱しない中で、農業者の経営安定に資する認定要綱の見直しというのは大変重要なことだと考えておりますので、前向きに検討してまいりたいと思います。 ◆國安政典 委員  私からは、札幌市の農業の今後の方向性について質問させていただきたいと思います。  日本の農業を取り巻く情勢は、TPP協定の発効に向けて関係各国による署名、調印を行うなど、グローバル化が急速に進んでおります。  こういった中で、国におきましては、平成27年11月に総合的なTPP関連政策大綱を策定し、その中では、強い農業づくりや農業所得の向上を目指して、農産物の輸出力強化やマーケティング力強化、生産現場の体質の強化、付加価値向上など、成長産業化に取り組む生産者の支援などの攻めの農業への転換を推し進めようとしております。また、農地法の改正や農業委員会等に関する法律の改正など一連の法改正を行いまして、企業の農業参入要件の緩和や担い手への農地の集積、集約化など、農地利用の最適化を推進することとされているところであります。  札幌市におきましては、今後10年を見据えて、平成18年に策定した都市農業ビジョンの見直しを行うと聞いております。先ほど申し上げましたように、まさしく、今、農業の転換期にあり、このビジョンが今後の札幌市の農業の鍵を握っているという意味で、この内容に大きな関心を抱いているところであります。  そこで、1問目の質問ですが、このビジョンの見直しをどのように進め、いつごろの策定を目指しているのか、まず、伺います。 ◎三部 農政部長  ビジョンの見直しの進め方についてでございます。  ビジョンの見直しに当たりまして、昨年12月から3回にわたり、有識者や農業者、農業関係団体や消費者団体などの代表者による検討懇談会を開催いたしまして、ビジョンの基本理念や基本的な方向性について議論していただいたところでございます。また、昨日、都市農業フォーラムを開催して、100名を超える市民にお集まりいただき、札幌の農業に対する意見を頂戴したところでございます。さらに、この後、各地域を代表する農業者の意見をお聞きする予定となっております。これらを踏まえまして、年度内にビジョンの骨格を作成した後、新年度からは、庁外、庁内の関係機関との調整や議会への報告、パプコメ等を経まして、平成28年9月の策定を目指してまいります。 ◆國安政典 委員  札幌の農業というのは、少量多品目であり、そしてまた、労働集約型の農業が主体であるということです。それから、先ほど申しました国が目指す輸出力強化については、例えば道内産の農産物を発信していく役割があるかと思います。一方で、企業の参入や、担い手への農地の集積といった大規模農業というのは、農地を見ますと現実的に札幌ではなじまない部分もあるというふうに思っております。  きょうの質疑の中でも種々出てまいりましたが、日本の食料基地である北海道の道都として、また大都市として、札幌自身も一大消費地であると同時に、道内農産物を全国、また世界へ発信していかなければならない都市としての使命もあります。また、加工して、それを発信していくという6次化の議論もございました。時代の変化や都市化が進む中にあって、札幌が持つ大都市としてのさまざまな機能をしっかり活用して、札幌らしい魅力あふれる産業として育てていかなければならない時期に来ていると思います。地産地消を進めることはもちろんですが、札幌にはさまざまな中小企業も集まってきておりますので、こういったところとの連携により、6次産業化もしっかりと進めなければいけません。  さらには、福祉関連との連携についてもニーズがあると思います。例えば、障がいのある方々の就労の場として、また、障がいのある、なしにかかわらず、社会になかなかなじめない事情のある方が、ちょっとしたボランティア体験などで生きる意欲を得たり、新たな可能性を見出したりできるきっかけにもなる多面的な機能も農業、農地は持ち合わせていると思っております。こういった農福連携など、大都市にある優位性を生かした札幌らしい農業をしっかりと目指していくべきであると考えます。  3月は、さまざまな切りかわりの月でもございます。三部部長におかれましては、37年という長年にわたって札幌市の農政一筋に取り組んでこられたことに心から敬意を表する次第でございます。いよいよ今月で退職ということになりますが、札幌の農業の今後の方向性について、ぜひ、ご示唆をいただければと思いますので、どのようにお考えか、伺います。 ◎三部 農政部長  札幌農業の今後のビジョンということでございます。  先ほどお答えいたしました検討懇談会の中では、おおむね3本の柱に沿って議論がなされてきたところでございます。この3本の柱の内容と、それぞれに対して札幌市が現時点で考えていることについて、ちょっと長くなりますが、述べさせていただきます。  その一つ目の柱は、担い手対策であります。農地を健全に活用し、後代に残していくためには、多様な担い手の育成が急務との出席者共通の認識でございました。札幌市といたしましても、大きな方向としては、地域の農業を支えていく意欲的な中核的農家を支援するとともに、新規就農者、さらには農業に関心の高い中高年の一般市民など、さまざまな担い手を農地の守り手と位置づけて支援してまいりたいと考えております。  二つ目の方向性としては、市民に支持、信頼されるような安全・安心な農産物の生産と供給体制を確立することであり、札幌市としても、委員がご指摘のように、大都市に立地する本市農業の強みを最大限に発揮して、地産地消の取り組みや、市内に多数集積している食産業との連携など進め、持続可能な農業展開を目指していきたいと考えております。  三つ目の方向性としては、農業と都市との交流をさらに密なものとし、市民の農ある暮らしを支えていくことが重要とされたところであります。これについては、サッポロさとらんどを活用して、より多くの市民に農業に触れ、親しんでいただくほか、市民農園や体験農園などさまざまな農的活動の機会を提供するとともに、それらをサポートする人材の確保も図りながら農業への理解、関心を深めていきたいと考えております。  以上、これらの方向性に基づきまして、札幌という都市の農業、農地を市民のかけがえのない財産として守り、地域や市民とともに大切に育んでいきたいと考えております。 ◆國安政典 委員  今後も、どういうお立場になるかはわかりませんが、しっかりと札幌の農業にさまざまなご提言をいただければと思います。  3本の柱が示されました。さまざまな分野の政策があると思いますが、事、農業に関しては、札幌は、どこかの先進事例を参考にするということにはならないというふうに思っております。何度も言いますが、札幌は、食料基地である道都として役割、また、大都市としての役割があります。ほかの大都市のまねをすることはなかなかできませんので、本当に独自の形を模索していかなければならないと思います。  また、今、お示しいただきました三つの柱については、私も全くそのとおりだと思います。特に高齢になると、私も土や緑の大切さを段々感じるようになってまいりましたが、豊かな暮らしのためにもそれらが必要であります。ただ、その手前に、持続可能な産業としてのしっかりとした取り組みが必要となってくるわけでありますから、今後もしっかりと進めていただきますよう求めまして、私の質問を終わります。 ○しのだ江里子 委員長  以上で、第2項 農政費のうち関係分の質疑を終了いたします。  最後に、議案第11号 平成28年度札幌市中央卸売市場事業会計予算について質疑を行いますが、通告がありませんので、質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回は、次週3月22日火曜日午後1時から、観光文化局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後5時39分...